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J Am Coll Cardiol誌から
クロピドグレルの個人差はCYP多型だけで予測できず
最も強力なCYP2C19*2でも血小板反応性の差の5.2%しか説明できない

2010/06/11
小塩 尚代=メディカルライター

 クロピドグレルの抗血小板作用に対する遺伝的・臨床的因子の影響を、待機的冠動脈ステント留置患者のデータを用いて検討したところ、薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP) 2C19の多型やいくつかの臨床的因子が有意な影響を示したものの、すべての因子を合わせても血小板反応性の差の11.5%を説明するにとどまった。この結果はJ Am Coll Cardiol誌6月1日号に掲載された。

 クロピドグレルの抗血小板作用には個人差があり、その原因としてCYP2C19の多型や人口統計学的・臨床的な特徴が挙げられてきた。しかし、これらの因子がクロピドグレルの作用にそれぞれどの程度の影響を及ぼしているかは不明である。

 そこで、ドイツ・Herz-Zentrum Bad Krozingenの研究者らが、以前に実施したEXCELSIOR(Impact of Extent of Clopidogrel-Induced Platelet Inhibition During Elective Stent Implantation on Clinical Event Rate)試験のデータを用いて、各因子がクロピドグレルの作用に及ぼす相対的な影響の大きさを推定した。

 EXCELSIOR試験は前向きの単施設試験であり、クロピドグレル(初期投与量600mg)とアスピリン(100mg/日以上を5日間以上)の服用後に待機的冠動脈ステント留置を実施した患者を対象とした。ステント留置後、アスピリン(100mg/日以上)は無期限に、クロピドグレル(75mg/日)はベアメタルステント(BMS)を留置した場合には30日間、薬剤溶出ステント(DES)を1本以上留置した場合には6カ月間服用することとした。

 今回の解析で使用した血小板凝集能のデータは、ステント留置翌日の、クロピドグレルの初回維持投与から2~4時間後(大部分の患者では前日の初期投与の16~24時間後)に採血したサンプルから得た。血小板凝集はADP(最終濃度5μmol/L)で惹起し、クロピドグレル服用下でも残存する血小板凝集能(residual platelet aggregation;RPA)を、光透過を用いた比濁法により測定した。

 EXCELSIOR試験の1年時点の報告では、上記の血液サンプルでRPAが高値だった患者における1年間の死亡および心筋梗塞の発生率は、RPAが高値でなかった患者の3倍だった。この報告ではRPA高値の閾値を14%超としており、今回の解析でも同じ閾値を用いた。

 EXCELSIOR試験の全対象者802例のうち、CYP2C19の遺伝子型とRPAのデータが得られた760例を今回の解析対象とした。これらの患者の平均年齢は66歳、男性は72%、DESを留置された患者は37%だった。


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