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Arch Intern Med誌から
β遮断薬内服がCOPD患者の生命予後に好影響
増悪リスクが減少、吸入β刺激薬を併用した場合でも同様

2010/06/09
難波 寛子=医師

 β遮断薬によりうっ血性心不全や虚血性心疾患の予後が改善されることは論を待たない。慢性閉塞性肺疾患COPD)が合併している場合も理論上は交感神経系抑制や虚血の改善が期待できるものの、気管支攣縮を恐れて使用が控えられることも多い。Arch Intern Med誌5月24日号に掲載されたオランダでのコホート研究の結果、COPD患者にβ遮断薬を投与すると、COPD増悪のリスクが減少し生命予後が改善する可能性が示された。

 COPDによる炎症は動脈硬化を促進するほか、喫煙という危険因子を共有するため、COPDにはしばしば心血管疾患が合併する。COPD増悪との鑑別が困難であるため心血管疾患の診断が正確に行われていないケースも多く、心血管疾患の明らかな合併がないCOPD症例に対してβ遮断薬使用が生命予後を改善するかは不明だった。

 本研究は、オランダにある23の診療所から35人の一般医(GP)が参加しているUtrecht General Practitioners(GPs)Networkのデータベースを用いて行われた。1992年よりGPの診療記録はすべて電子化されており、診断はInternational Classification of Primary Care, Second Edition(ICPC-2)に、処方はAnatomical Therapeutic Chemical Classification standardによりすべてコード化されている。2005年12月の時点でデータベースに含まれる症例数は約6万例であり、うち2万362例が45歳以上だった。

 対象は45歳以上で、95年1月1日から05年12月31日までの間にCOPDと診断された症例とした。

 アウトカムは、総死亡と観察期間中1回目のCOPD増悪とした。観察期間は、死亡もしくは転出、観察期間終了までのうち最も短いものとした。COPD増悪後の症例も死亡まで観察が続けられた。COPD増悪の定義は、ステロイドパルスか7~10日間のステロイド使用、または増悪による入院とした。

 条件を満たした2230例のうち、観察開始時より診断されていたCOPDが560例(25%)、期間中に診断されたCOPDは1670例(75%)だった。観察開始時点での平均年齢は64.8歳(標準偏差[SD]:11.2)、53%が男性だった。

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