日経メディカルのロゴ画像

J Am Coll Cardiol誌から
メタ解析によればRAS抑制薬はAF予防に有効
ただし試験間における不均一性が高く、患者の条件で効果は異なる

2010/06/02
小塩 尚代=メディカルライター

 心房細動(AF)に対するレニン・アンジオテンシン系抑制薬RAS抑制薬)の予防効果を検討した23試験のメタ解析から、1次予防では心不全患者と左室肥大を有する高血圧患者に有効であり、2次予防では持続性AFの除細動後および発作性AFに対する薬物療法において有効であることが明らかになった。この結果はJ Am Coll Cardiol誌5月25日号に掲載された。

 AFの動物モデルでは、RAS抑制薬が心臓の電気的・構造的なリモデリングに有益な作用を示しているが、ヒトのAF予防試験の結果はまちまちである。

 そこでドイツ・デンマーク・ノルウェーおよび米国の研究者のグループがメタ解析を実施し、どのような条件の患者でRASの抑制がAFの予防に有効であるかを検討した。

 メタ解析に含めた試験の条件は、(1)ACE阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)による治療をプラセボまたはほかの治療と比較していること、(2)AFの新規発症または再発を報告していること、(3)英語で論文化されていること(学会発表要旨は除く)――とした。心臓手術やカテーテルアブレーションに伴うAFの発症率を見た試験は除外した。

 解析はintention-to-treatの原則に基づいて行った。サンプルサイズに応じて効果の大きさに重み付けし、その平均値を算出した。

 主解析には、RAS抑制薬と対照薬にランダム化されていた23の前向き試験(合計8万7048例)のみを含めた。その内訳は、1次予防が、高血圧患者における6試験(5万3494例)、心筋梗塞(MI)後の患者における2試験(1万9288例)、心不全患者における3試験(1万1148例)、そして2次予防が、持続性AFの除細動後の8試験(2054例)、発作性AFに対する薬物療法の4試験(1064例)だった。

 これら23試験をあわせると、RAS抑制薬による治療がAFの発症率(1次・2次予防を含む)を33%低下させた(オッズ比[OR]:0.67、95%CI:0.57-0.78、P<0.00001)。ACE阻害薬(4万5841例、OR:0.64、95%CI:0.50-0.81、P=0.0003)とARB(4万1389例、OR:0.64、95%CI:0.52-0.78、P<0.0001)を別々に解析した場合も、結果は同様だった。しかし、治療効果には試験間で有意な不均一性が存在した(P<0.00001)。

 

この記事を読んでいる人におすすめ