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Circ J誌から
退院時のβ遮断薬投与が長期生命予後に寄与
心不全患者の国内大規模レジストリー「JCARE-CARD」の解析結果

2010/06/01
大滝 隆行

 心不全の悪化で入院した患者を登録した日本初の大規模レジストリーの解析から、退院時のβ遮断薬投与が心不全の長期生命予後に寄与することが分かった。この結果は5月22日、Circ J誌オンライン版に早期公開された。

 心不全入院患者に対する退院時のβ遮断薬投与はその後の治療継続率を上げ、短期(60~90日間)の生命予後を改善することが報告されているが、長期の生命予後に対する影響は分かっていない。

 そこで、入院治療を要した心不全患者の予後(生命予後と心不全増悪による再入院)規定因子を明らかにするために、わが国で初めて行われた多施設前向き登録観察研究「Japanese Cardiac Registry of Heart Failure in Cardiology(JCARE-CARD)」のデータベースを用いて、退院時のβ遮断薬投与が心不全の長期予後に及ぼす影響を調べた。

 JCARE-CARDでは、2004年1月から05年6月までに心不全の悪化で164の参加施設に入院した2675例を登録し、平均2.2年間追跡した。今回、左室駆出率(EF)のデータがある1692例のうち、心臓弁膜症がなくEFが40%未満の947例を対象とした。

 対象者の平均年齢は66.3±13.7歳で、男性が72%を占めた。心不全の原因としては、虚血性(40%)、心筋症(36%)、高血圧性(22%)が多かった。平均EFは27.1±7.3%。

 対象者947例のうち、退院時にβ遮断薬を投与したのは624例(66%)だった。投与したβ遮断薬はカルベジロール(89.8%)が最も多く、次いでメトプロロール(5.6%)、ビソプロロール(3.5%)の順だった。

 退院時にβ遮断薬を投与した群では、投与しなかった群に比べて年齢が若く、BMIが大きく、心筋症の割合が高かった。腎不全や貧血、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、高尿酸血症の合併は、β遮断薬が投与されなかった群に多かった。β遮断薬以外の薬剤(ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿薬、強心薬、アスピリンなど)の処方頻度に関しては両群間に差がなかった。

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