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Eur Heart J誌から
長時間の時間外労働はCHDリスクを上げる
総死亡も増加傾向、英国での前向きコホート研究の結果

2010/05/28
岡本 絵理=メディカルライター

 冠動脈疾患CHD)のない中高年労働者を平均11年間追跡したところ、1日3~4時間の時間外労働をしていると、時間外労働をしない場合と比べてCHDの発症リスクが有意に上昇することが分かった。この結果は、5月11日にEur Heart J誌オンライン版で発表された。

 時間外労働については、これまでに高血圧や健康上の問題、睡眠障害、うつ病との関連が示唆されているが、CHDとの関連を検討した研究はほとんどなかった。そこで、フィンランドと英国の研究者らが前向きコホート研究(Whitehall II)の中で、時間外労働がCHD発症に及ぼす影響を調べた。

 対象は、1991から94年までに39~61歳であり、Whitehall IIに参加した英国の公務員。ベースライン時に1日当たりの労働時間を尋ねるアンケートを実施し、1~12時間の範囲で回答を得た。7時間以上勤務しCHDのない6014例(男性4262例、女性1752例)を適格とし、時間外労働のない群(1日7~8時間労働、3256例[54%])、1時間の時間外労働群(1日9時間労働、1247例[21%])、2時間の時間外労働群(1日10時間労働、894例[15%])、3~4時間の時間外労働群(1日11~12時間労働、617例[10%])に分類した。

 CHD発症の指標は、致死的CHD・非致死的心筋梗塞・狭心症の合計発症数とし、2002年から04年まで追跡した。

 ベースライン時に臨床検査やアンケートを行い、計21の心血管危険因子、すなわち社会人口統計学的因子(年齢、性別、婚姻状態、社会経済的地位)、CHDの従来の危険因子(糖尿病、収縮期・拡張期血圧、血清高比重リポ蛋白コレステロール[HDL-C]、低比重リポ蛋白コレステロール[LDL-C]、中性脂肪、喫煙状態、アルコール摂取量、運動量、果物・野菜の摂取量、BMI、睡眠時間、心理的苦悩の有無、タイプA行動様式、仕事の要求度、仕事上の決定の自由度、病欠日数を特定した。

 各種因子により補正したCox比例ハザードモデルを用い、時間外労働とCHD発症との関係を評価した。P<0.05の場合に有意としたが、第1種過誤のリスクを減らすためBonferroni補正をしたP値も算出した。


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