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Arch Intern Med誌から
クロピドグレルとPPIの併用でMIによる再入院倍増
競合が少ないとされるpantoprazoleでも同様、ただし後ろ向き解析の結果

2010/05/18
小塩 尚代=メディカルライター

 抗血小板薬クロピドグレルプロトンポンプ阻害薬PPI)を併用していた患者では、心筋梗塞(MI)または冠動脈ステント留置による再入院のリスクがクロピドグレル単独使用者よりも有意に高く、クロピドグレルとの代謝酵素の競合が少ないとされるpantoprazoleに限ったサブ解析でも同様の結果だった。保険請求データの後ろ向き解析によるもので、Arch Intern Med誌4月26日号に掲載された。

 クロピドグレルの効果に対するPPIの影響を検討する目的で、これまでにも幾つかの後ろ向き研究が実施されてきた。しかしこれらの研究は、限定的な患者集団(高齢者や退役軍人など)を対象としていることに加え、PPI併用者の心血管危険因子や併存症が、クロピドグレル単独使用者よりも多いという問題を抱えていた。

 そこで、米カリフォルニア州の薬剤給付管理会社であるPrescription Solutionsの研究者らが、健康保険プランの被保険者のデータを用いて、クロピドグレル単独使用者とPPI併用者とを傾向スコア(propensity score)でマッチングして両者の転帰を比較した。

 解析に用いたのは、米国西部の健康保険プラン(年間の被保険者数は190~210万人)に登録されている、営利的保険またはメディケアの被保険者からの薬剤費および医療費の電子請求データ。これらの被保険者のうち、18~84歳で、2004年1月1日から06年12月31日までにクロピドグレルを調剤されており、この初回調剤日前の30日間に急性MIまたは冠動脈ステント留置で入院した患者を解析対象とした。

 クロピドグレル単独群は、クロピドグレル初回調剤日の前後90日間にPPIを調剤されていなかった患者とした。クロピドグレル+PPI併用群は、PPIを調剤されていて、その調剤期間がクロピドグレルの初回調剤日と重なっており、クロピドグレル初回調剤日から90日以内にPPIの再調剤(リフィル)を1回以上受けた患者とした。クロピドグレル単独群とPPI併用群の基準を満たしたのは、それぞれ6008例と1041例だった。

 これらの患者を、傾向スコアを用いて1対1の割合でマッチングしたところ、各群1033例がペアとなった。ペアの2群は人口統計学的特徴と心血管疾患の既往に関しては釣り合いが取れていたが、Charlson併存疾患指数のスコアの分布には差があり、PPI併用群の方がスコアの平均値が高かった。全患者の平均年齢は69.1歳、男性が56.2%だった。これらの患者のデータをクロピドグレル初回調剤日から360日間追跡した。

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