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N Engl J Med誌から
心移植後の拒絶反応監視に末血遺伝子解析が有用
ランダム化試験で心筋生検に対する非劣性を証明

2010/05/13
難波 寛子=医師

 心移植後の拒絶反応のモニタリング法としては心筋生検が標準とされているが、生検に伴う侵襲が問題となる。末梢血単核球の遺伝子発現プロファイリング解析がその代替法として注目されているが、臨床現場における両者の有用性について系統的な比較は行われていなかった。4月22日、N Engl J Med誌オンライン版に発表されたランダム化非劣性試験の結果、遺伝子発現プロファイリング解析群は、生検群と比較して予後が劣らないことが確認された。

 IMAGE(Invasive Monitoring Attenuation through Gene Expression)と名付けられた同試験は米国の13施設が参加して、2005年1月から09年10月まで行われた。

 当初の対象は心移植後1年以上5年以下が経過した18歳以上の症例。07年11月27日にプロトコールが改訂され、移植後6カ月以上5年以下とされた。登録時、対象者は臨床的に安定しており左室駆出率が45%以上であることとされ、重症のグラフト血流不全や抗体反応の既往、心不全症候のある者は除外された。

 602例を、遺伝子発現プロファイリング解析群(遺伝子解析群)と生検群に1対1で割り付けた。割り付けは、施設および移植後期間(1年以下、2~3年、4~5年)により層別化して行われた。

 生検群に黒人が多い(P=0.01)ことを除き、両群の患者背景は同様だった。移植からランダム化までの期間は6~12カ月が15%、13~36カ月が68%、37~60カ月が17%だった。観察期間の中央値は19カ月(4分位範囲:9.6-23.8)だった。

 拒絶反応のモニタリングは、両群規定の間隔で施設のプロトコールに従って行った。臨床所見および心エコーによる経過観察も全対象で行った。遺伝子解析群においては、スコアが規定を超えた場合に心筋生検を行った。スコアが持続して高い場合でも、前回2回以上の生検で拒絶が確認されなかった症例は、生検の必要なしとした。

 遺伝子発現プロファイリングにはXDx社のAlloMapテストを用いて、11の遺伝子を解析した。スコアは0~40。既報では、スコア30未満の場合における組織学的に確認可能な拒絶の陰性適中率は99.6%であるため、当初スコアが30を超えた場合に生検が必要とした。05年11月7日、遺伝子解析群における不要の生検を減らす目的で、ボーダーラインを34に引き上げた。

 対象の観察期間は、24カ月、死亡まで、試験終了までのうち最も短い期間とした。



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