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N Engl J Med誌から
腹部大動脈瘤の血管内治療、優位性は長期間続かず
開腹手術に比べて周術期死亡率では優れたが、長期予後は同等

2010/05/06
西村 多寿子=東京大学

[編集部注:EVAR 2紹介記事へのリンクを設定しました(2010.5.14)]

 英国での多施設ランダム化比較試験の結果、腹部大動脈瘤血管内治療開腹手術に比べて周術期死亡率は有意に低かったが、術後4年以降の総死亡率や動脈瘤関連の死亡率では両群間に有意差はなかった。また血管内治療はグラフト関連の合併症や再施行率が高く、長期的な医療コストは開腹手術を上回った。この結果は4月11日、N Engl J Med誌オンライン版に掲載された。

 EVAR 1(United Kingdom Endovascular Aneurysm Repair 1)と名付けられた本試験は、英国内の37施設で実施された。対象は、60歳以上、CT上で直径5.5cm以上の腹部大動脈瘤の所見、血管内治療と開腹手術のいずれも適応がある――を満たす患者とした。血管内治療のみ適応の患者は、EVAR 2関連記事)に登録された。

 EVAR 1の対象患者は血管内治療群と開腹手術群にランダムに割り付けられ、ランダム化から1カ月以内に治療を受けることを推奨された。主要アウトカムは総死亡とし、このほかに動脈瘤関連の死亡、グラフト関連の合併症、再施行率も評価した。

 解析はintension-to-treatで行い、全追跡期間と3期に分割(ランダム化から6カ月、6カ月以上4年未満、4年以降)したハザード比[HR]を算出した。

 1999年9月から2004年8月までに1252例が登録された。患者の平均年齢(±標準偏差)は74.1±6.1歳、男性の比率90.7%、動脈瘤の平均直径は6.4±0.9cmだった。追跡期間の中央値は6.0年(四分位範囲3.9-7.3)、ランダム化から血管内治療までの中央値は44日、開腹手術までの中央値は35日だった。

 血管内治療群に割り付けられながら治療を受けなかった患者12例の内訳は、ランダム化から6カ月以内の死亡が7例(3例は動脈瘤破裂)、身体的条件の不適格が3例、動脈形状の変化で不適格および辞退が各1例だった。

 開腹手術群に割り付けられながら手術を受けなかった患者24例の内訳は、ランダム化から6カ月以内の死亡が7例(3例は動脈瘤破裂)、身体的条件の不適格が7例、辞退が8例(3例は死亡)、理由不明が2例だった。

 

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