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Stroke誌から
脳動脈閉塞急性期の機械的血栓除去は有効
脳血栓除去デバイスMerci Retrieverを評価したMulti MERCI試験

2010/04/21
西村 多寿子=東京大学

 わが国でも近く承認される見込みの、急性脳卒中を対象にした機械的血栓除去用デバイスMerci Retrieverの有効性と安全性を検討した臨床試験の結果を紹介する。この論文は、2008年4月のStroke誌に掲載された。第2世代モデルは、第1世代モデルと比べて再開通率が高く、臨床転帰も良好であることが示された。

 Multi MERCI試験は、米国とカナダの15施設にて実施された単群(single-arm)の臨床試験。Merci Retriever X5、X6、L5を使用した血栓除去術による再開通成功率が、あらかじめ設定した成功率より劣らないかを検証した。

 第1世代モデルX5とX6は04年8月に米食品医薬品局(FDA)の承認を受け実臨床で用いられ始めたために試験対象から外した。その後はFDAの許諾を受け、まだ承認されていなかった第2世代モデルL5を用いた。

 本研究の目的は、(1)組織プラスミノーゲン活性化因子の静脈内投与(iv tPA)適応患者におけるX5とX6の使用経験を積む、(2)iv tPAによりすぐ再開通しない患者への同デバイス使用の安全性と有効性を調査する、(3)L5の安全性と有効性データを得る――こととした。

 患者の選択基準は、(1)18歳以上、(2)急性脳卒中の徴候がある、(3)National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア8点以上、(4)脳卒中発症後8時間以内、(5)血管造影の結果、治療可能な閉塞血管が存在すること(頭蓋内椎骨動脈、脳底動脈、内頸動脈、内頸動脈末端、中大脳動脈M1、M2)とした。

 標的血管再開通の成否は、Thrombolysis In Myocardial Infarction(TIMI)で判定した。再開通不成功、または近位部血栓除去成功後、遠位部の塞栓に到達不能な場合は動脈内血栓溶解薬(最大24mg)を投与可能とした。

 患者の神経学的転帰を見るmodified Rankin Score(mRS)とNIHSSは、ベースライン時、30日後、90日後に評価した。CTとMRIは、ベースライン時と24時間後、神経学的症状悪化の際は随時撮影した。

 主要エンドポイントは、L5使用時の再開通成功率44%以上とした。この値は第1世代のデバイスを用いて行われたMERCI試験の再開通率の平均(±標準偏差[SD])48.2%(±4.2%)より1SD低く、旧モデルに対する非劣性試験として設定した。主要2次エンドポイントは、デバイスに関連した重篤な有害事象発生率10%以下とした。

 

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