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Ann Intern Med誌から
PPIとクロピドグレルの併用、利益がリスクを上回る
重篤な心血管疾患による入院は増えず、胃十二指腸出血による入院は半減

2010/04/05
小塩 尚代=メディカルライター

 クロピドグレルプロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用すると、胃十二指腸出血による入院が50%減少する一方で、重篤な心血管疾患による入院には影響がないことが、冠動脈疾患患者を対象とした研究で明らかになった。この結果は3月16日にAnn Intern Med誌に掲載された。

 PPIはクロピドグレルによる消化管出血リスクを軽減する目的で併用されるが、最近、PPIがチトクロームP450 2C19を競合阻害することにより、クロピドグレルの効果を減弱させるのではないかという懸念が高まっている。米食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁(EMEA)も、PPIの併用に関する勧告を発表した。

 しかし、PPIがクロピドグレルの心血管系への利益をどの程度損なうのか、あるいはクロピドグレルによる消化管出血のリスクをどの程度軽減するのかははっきりしていない。そこで米国バンダービルト大学の研究グループは後ろ向きコホート研究を実施し、クロピドグレル使用患者の胃十二指腸出血および心血管疾患による入院に対する、PPIの影響を調査した。

 この研究ではテネシー州のメディケイドプログラム(TennCare)のデータベースを用いて、コホートの特定、ベースライン時のリスク分類、薬剤使用状況の追跡、およびエンドポイントの特定を行った。

 対象は、30歳以上で、メディケイド登録後365日以上経過しており、重篤な冠動脈疾患(急性心筋梗塞、冠動脈血行再建術、不安定狭心症)で入院後、1999年1月1日~2005年12月31日にクロピドグレルを処方された患者とした。

 薬剤使用期間の定義は調剤日から飲み終わり予定日までとしたが、クロピドグレルなど抗血小板作用が持続する薬剤については飲み終わり予定日の7日後までとした。冠動脈疾患による入院加療が終わり退院した翌日から追跡を開始し、クロピドグレルを使用した期間のみを追跡期間に含めた。

 PPIはリスクの高い患者に処方される傾向があるため、解析モデルにはpropensity score(追跡初日に患者がPPIを使用していた確率)の十分位数を補正因子として組み込んだ。その他の因子でも補正を行い、PPIの使用は時間依存性変数とした。

 

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