日経メディカルのロゴ画像

N Engl J Med誌から
糖尿病診断にはHbA1cが空腹時血糖より優れる
非糖尿病者1万1000人超の前向きコホート研究で明らかに

2010/03/19
西村 多寿子=東京大学

 非糖尿病者のHbA1c空腹時血糖を測定し、糖尿病心血管疾患の発症、総死亡との関係を検討する前向きコホート研究で、糖尿病のリスク評価においてHbA1cと空腹時血糖は同等だったが、心血管疾患と総死亡の評価においてはHbA1cが空腹時血糖より優れていることが示された。この結果は、N Engl J Med誌3月4日号に掲載された。

 米国ジョンズ・ホプキンス大学を中心とする研究グループは、糖尿病、心血管疾患、総死亡の予測指標としてHbA1cは空腹時血糖より優れているという仮説を立て、米国の大規模前向きコホート研究ARIC(The Atherosclerosis Risk in Communities)から、ベースライン時のHbA1cおよび空腹時血糖と、その後に発生したイベントとの関係を検討した。

 ARICは、米国4地域に在住の中年男女1万5792 例を対象にした前向きコホート研究である。初回検査は1987年から89年に実施され、その後3年ごとに検査が行われた。

 本研究の対象は、ARICの第2回検査(90年~92年)参加者のうち、糖尿病と心血管疾患の既往のない白人と黒人1万1092例とした。白人と黒人以外の人、糖尿病の診断を受けたと報告した人、糖尿病薬を服用している人、心血管疾患の既往がある人は除外した。

 HbA1cは、5.0%以上5.5%未満を対照群とし、5.0%未満、5.5%以上6.0%未満、6.0%以上6.5%未満、6.5%以上の5群に分けた。空腹時血糖は100mg/dL未満を対照群とし、100mg/dL以上126 mg/dL未満、126mg/dL以上の3群に分けた。

 HbA1cの5群と空腹時血糖の3群について、糖尿病の新規診断、冠動脈疾患、虚血性脳卒中、総死亡のハザード比[HR]をそれぞれ算出した。調整には、以下の項目による3種類のモデルを使用した。

・Model 1:性、年齢、人種

・Model 2:Model 1+低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール、中性脂肪、体格指数(BMI)、ウエスト・ヒップ比、高血圧、糖尿病の家族歴、教育レベル、アルコール摂取、身体活動レベル、喫煙状況

・Model 3:Model 2+ベースライン時のHbA1cまたは空腹時血糖

この記事を読んでいる人におすすめ