日経メディカルのロゴ画像

Ann Intern Med誌から
HRTを閉経後早期に始めても冠リスクは上昇
WHI試験の再解析で「タイミング仮説」を検証

2010/03/04
小塩 尚代=メディカルライター

 エストロゲンプロゲスチン併用のホルモン補充療法HRT)は、閉経後あまり時間がたっていない女性においても治療開始から数年間、冠動脈疾患CHD)リスクを上昇させることが分かった。WHI(Women's Health Initiative)試験のデータをアドヒアランスで補正した再解析の結果で、Ann Intern Med誌2月16日号に掲載された。

 閉経後女性に対するHRTの効果をプラセボと比較したWHI試験は、HRT群で乳癌が増加したため早期に中止された。このほかにもCHDなど複数のイベントがHRT群で増加した。WHI試験以外の研究でも、エストロゲン・プロゲスチン併用開始から数年間のCHDリスク上昇が認められている。

 しかしこれまでの研究から、比較的若年で、冠動脈に進展したプラークがない女性では、エストロゲンがCHDリスクを低下させる一方、冠動脈に進展した病変がある女性ではエストロゲンがCHDを誘発するとの「タイミング仮説」が提唱されている。

 そこで、米国のハーバード大学と国立心肺血液研究所(NHLBI)WHI部門のグループは、(1)HRTによるCHDリスクが治療開始後の時間経過に伴って変化するか、(2)閉経からHRT開始までの期間がCHDリスクに影響を与えるか──を検討するために、WHI試験のデータを再解析した。

 WHI試験では、ベースライン時に子宮を有する50~79歳の閉経後女性1万6608例を、HRT(結合型ウマエストロゲン0.625mg/日+酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg/日、8506例)群またはプラセボ(8102例)群にランダムに分けた。平均追跡期間は5.6年だった。

 追跡期間中、割り付けられた治療に対するアドヒアランスが時間とともにかなり低下し、試験薬の80%以上服用を遵守しなかった対象者は、6年後までに約40%に上った。そこで今回の解析では、WHI試験のデータをアドヒアランスで補正した。

 

この記事を読んでいる人におすすめ