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Circulation誌から
クロピドグレルの代謝活性化を促進するCYP2C19*17多型
凝集能は有意低下し出血リスクも高まるが虚血性イベント減少には至らず

2010/02/05
西村 多寿子=東京大学

 肝薬物代謝酵素チトクロームP450CYP)の遺伝子多型は、薬物血中動態の変動に重要な役割を果たすことが知られている。近年発見されたCYP2C19の変異アレル*17(スター17)が経皮的冠動脈形成術PCI)適応患者の臨床アウトカムに及ぼす影響を検討した結果、CYP2C19*17は、クロピドグレルの血小板凝集抑制作用の増強や出血リスクの増加と関連することが明らかになった。この結果は、Circulation誌2月2日号に発表された。

 クロピドグレルの肝代謝には、CYP2C19、3A4/5、1A2、2B6、2C9を含む多種のアイソザイムが関与しているが、中でもCYP2C19が中心的な役割を担っていることが分かってきた。CYP2C19の変異アレル*2はCYP2C19の機能欠失型変異体であり、クロピドグレルの血小板凝集抑制作用の減弱やステント血栓症を含む主要有害心血管イベントの増加に関連するという報告がある。

 一方、近年発見されたCYP2C19の変異アレル*17は、CYP2C19の転写能の活性化によりクロピドグレルの作用を増強する可能性があり、血栓予防に寄与する反面、出血リスクの増加が懸念される。そこで本研究は、CYP2C19*17の存在がクロピドグレル投与時の血小板凝集能、出血イベントおよびステント血栓症の発生に及ぼす影響を評価することを目的とした。

 ドイツ・ミュンヘン心臓病センターにて、2007年2月から2008年4月の間、薬剤溶出ステント留置が予定されている患者1608例を登録した。採血後にDNA抽出を行い、遺伝子型判定に利用可能だった1524例(95%)を本研究の対象とした。

 PCI施行前に初回投与量としてクロピドグレル600mgを投与し(2時間以上前の投与を推奨)、検査に用いる血液はPCI直前に採血した。遺伝子型判定はTaqManアッセイを用い、ADP誘導による血小板凝集能の検査にはMultiplate analyzerを使用した。退院時処方はクロピドグレル75mg 1日1回とアスピリン100mg 1日2回とした。


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