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J Am Coll Cardiol誌から
手術不能例に対する経皮的大動脈弁置換術の予後は良好
経大腿動脈か経心尖部か、アプローチによる差も見られず

2010/02/03
小塩 尚代=メディカルライター

 重症の大動脈弁狭窄を有するものの手術できない、あるいは手術リスクが非常に高い患者に対し、経皮的大動脈弁置換術TAVI)を実施した場合の生存率は良好だった。経大腿動脈(transfemoral;TF)か経心尖部(transapical;TA)かアプローチ方法の違いによる転帰の差はなかった。この結果は1月20日、J Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 TAVIでは通常、逆行性のTFアプローチが不可能な場合にTAアプローチが選択される。この2つのアプローチは別々に評価されることが多く、TAアプローチの役割をTAVI全体の中で評価した研究はわずかである。

 また高齢患者では、胸部大動脈の全周性石灰化(porcelain aorta)や脆弱性(frailty)が認められることがあり、それらを理由に外科的な弁置換術が不可能と判断される場合も多い。しかしこれらの因子は、既存の手術リスク算出用アルゴリズムには含まれていない。

 そこで、カナダ・ケベック州のHeart and Lung Instituteの研究者らは、(1)TFとTAの両アプローチを合わせたTAVIの成績を評価し予後予測因子を検討する、(2)胸部大動脈の全周性石灰化または脆弱性のために手術不能とされた患者において、TAVIの成績を評価する──ことを目的として今回の研究を実施した。

 対象は、カナダにおけるTAVIの例外的使用(compassionate use)プログラムの適応となる、手術リスクが非常に高い、あるいは手術できない重症の大動脈弁狭窄患者で、2005年1月から2009年6月までに、6施設でEdwards Lifesciences社の人工弁(Cribier-Edwards、Edwards SAPIEN、SAPIEN XT)を用いてTAVIが実施された連続339例とした。これらの患者をプロスペクティブに追跡した。

 患者のTAVIに対する適格性の判断、TFまたはTAのアプローチの選択、全周性石灰化と脆弱性の診断は、インターベンション心臓病専門医と心臓外科医のチームが実施した。胸部大動脈の全周性石灰化の有無はCTや血管造影で評価した。

 人工弁のサイズは、経食道心エコーで測定した大動脈弁輪径が17~21mmだった場合には23mmの弁を、22~25mmだった場合には26mmの弁を使用した。患者は手技後にアスピリン(80mg/日)を無期限に、クロピドグレル(75mg/日)を3~6カ月間服用した。

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