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J Am Coll Cardiol誌から
スタチンの脳卒中予防効果はコレステロール低下に比例
プレイオトロピック効果の存在は明らかにならず

2010/02/01
難波 寛子=医師

 スタチン脳卒中の発生率を下げることは知られている。そのメカニズムとして、コレステロール低下作用以外に抗酸化作用や抗炎症作用などのプレイオトロピック効果が注目されていた。

 だが、脂質低下療法のランダム化試験を対象に脳卒中の発生についてメタアナリシスを行ったところ、スタチンは脳卒中予防に最も効果的だったが、その効果は低比重リポ蛋白コレステロールLDL-C)の低下率に比例しており、プレイオトロピック効果は見られないという結果になった。このイタリアの研究グループの論文は、J Am Coll Cardiol誌1月19日号に掲載された。

 本解析の目的は以下の疑問の解決である。(1)脳卒中に対する脂質降下薬の効果はスタチンに限定されているのか、他の薬剤や薬剤以外の治療でも効果は同等か。(2)脂質降下薬の効果は脳卒中が致死的かどうかで異なるか。(3)脳卒中の予防効果があれば、それは血中脂質の低下に比例しているか。

 2009年4月までに報告されたランダム化試験のうち、脂質低下療法と脳卒中発生について記録のある全臨床試験を対象とした。

 スタチン、フィブラート、その他の脂質低下療法の効果の平均と95%信頼区間(95%CI)は、Random effectモデルを用いてMantel-Haenszel法で推定した。個々のオッズ比(OR)は2×2表より算出した。イベントに対するスタチンの効果や患者背景などとの関連性については、感度分析を行った。脂質低下療法が持つ致死的脳卒中予防効果の検討のために、コントロール群の死亡率を用いた相対危険度(RR)を算出した。脂質低下療法と全脳卒中の関連に関しては、メタ回帰分析を行った。

 当初の対象は78試験、26万6973症例、追跡は累積で94万6582人・年(平均追跡期間 3.5年)だった。うち4試験が3個以上の群に対象を割り付けていたため、解析対象は82試験となった。脂質低下療法の内訳としては、スタチンが49試験、フィブラートが13試験、食事療法が7試験、他の薬剤が12試験、外科療法が1試験だった。脳卒中に関して脂質低下療法との関連の記載があるものは76試験であり、このため最終的な解析対象は80試験となった。

 

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