日経メディカルのロゴ画像

J Am Coll Cardiol誌から
大動脈弁輪径の計測値は心エコーとCTで異なる
計測法により経皮的大動脈弁置換術(TAVI)の実施方針が変わる可能性

2010/01/29
小塩 尚代=メディカルライター

 重症の大動脈弁狭窄のために、経皮的大動脈弁置換術TAVI)が予定されている患者において、大動脈弁輪径を3つの計測法、すなわち経胸壁心エコー法(TTE)、経食道心エコー法(TEE)、およびマルチスライスCT(MSCT)で計測したところ、それぞれ計測値がやや異なり、この違いがTAVIの適否の決定、およびデバイスの選択に影響を与える可能性が示唆された。この結果はJ Am Coll Cardiol誌1月19日号に掲載された。

 重症の大動脈弁狭窄を有するものの手術リスクが高い患者のために、外科的大動脈弁置換術の代替法として、最近TAVIが開発された。TAVIの成功には大動脈弁輪径の正確な計測が非常に重要だが、現時点ではgold standardと呼べる計測法は確立しておらず、心エコーやCTによる計測値の比較はこれまでほとんど実施されていなかった。

 そこで仏・Bichat Hospitalの研究者らは、TTE、TEE、およびMSCTによる弁輪径の計測値を比較し、それぞれの計測値に基づいてTAVIの実施方針を決めた場合に、違いが生じるかどうかを検討した。

 2007年4月から08年9月までの間に、TAVIを目的として著者らの施設に紹介された、重症大動脈弁狭窄の連続症例51例に対し、紹介から1カ月以内にTTE、TEE、およびMSCTを実施した。画像の質が不十分だった6例を除外し、45例を本研究の対象とした。平均年齢は80±8歳、26例(58%)が男性で、大動脈弁口面積の平均は0.71±0.17cm2、圧較差の平均は50±16mmHgだった。左室駆出率の平均は46±16%、18例(40%)が50%未満だった。

 心エコー法による弁輪径の計測には、TTEでは胸骨左縁長軸像、TEEでは120~140度の上部食道縦断像(三腔像)を用いた。MSCTによる弁輪径の計測には以下の2つの方法を用いた。第1の方法では、大動脈起始部を輪切りにする短軸像を用いて、弁輪の長径と短径を計測した。第2の方法では、心エコー法の長軸像と同様な三腔像を用いて、弁の付け根(at the hinge points of the leaflets)の径を計測した。

 TAVIの適否の決定と人工弁サイズの選択は、現時点での知見および推奨に従いTEEの計測値に基づいて行った。バルーン拡張式の人工弁(Edwards-Sapien、23mmと26mmのいずれか)を使用し、大腿動脈からのアプローチ、それが不適切な場合には心尖部からのアプローチで施術した。弁輪径が18mm超21mm以下の場合には23mmの人工弁を、21mm超25mm以下の場合には26mmの人工弁を使用し、18mm以下あるいは25mm超の場合にはTAVIを実施しないこととした。

 

この記事を読んでいる人におすすめ