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J Am Coll Cardiol誌から
非ST上昇型ACSの予後は早期侵襲的療法で改善しない
5年間の死亡と心筋梗塞の発生率は待機的療法と変わらず

2010/01/28
小塩 尚代=メディカルライター

 トロポニンT高値の非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)に対して、早期に侵襲的療法を実施する群と、様子を見て待機的療法を行う群に分け予後を追跡したところ、5年間の死亡と心筋梗塞の発生率は両群間で差がなかった。高リスクのサブグループにおいても同様だった。この結果は2009年12月30日、J Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 ACC/AHA(米国心臓学会/米国心臓協会)や欧州心臓学会(ESC)のガイドラインでは、内科的治療で安定したNSTE-ACSの高リスク患者に対し、早期の侵襲的療法を推奨している。ただしACC/AHAのガイドラインでは、推奨の度合いは低いが待機的療法も考慮し得るとしている。

 NSTE-ACS患者に対する早期侵襲的療法と待機的療法を比較した、過去の研究の死亡率を見ると、FRISC II試験では2年後に有意差があったが5年後には差がなく、逆にRITA-3試験では2年後に差がなく5年後には差が認められた。これら2試験のいずれも、高リスク患者において侵襲的療法の利益が大きかった点では一致していた。

 一方、オランダ・Academic Medical Centerの研究者らによるICTUS(Invasive versus Conservative Treatment in Unstable coronary Syndromes)試験の1年後および3年後の結果では、複合エンドポイント(死亡+心筋梗塞+狭心症症状による再入院)の発生率に関して治療方針による差は認められなかった。今回、同試験の5年追跡結果が報告された。

 ICTUS試験はオランダの42施設で実施され、NSTE-ACS患者1200例が早期侵襲的療法群(604例)または待機的療法群(596例)にランダム化された。組み入れ基準は、18~80歳で、虚血症状の増加あるいは安静時の発症が見られ、ランダム化前24時間以内にも虚血症状を示しており、心筋トロポニンT高値(0.03μg/L以上)で、心電図上の虚血性変化あるいは冠動脈疾患の既往を有することだった。

 早期侵襲的療法群では、ランダム化後24~48時間以内に冠動脈造影を実施し、必要な場合には血行再建術(経皮的冠動脈インターベンションPCI]または冠動脈バイパス術)を実施した。待機的療法群では、内科的治療によって患者を安定な状態とし、治療抵抗性狭心症、血行動態または調律不安定、あるいは退院前の運動負荷試験で臨床的に重大な虚血が認められた場合に限り、冠動脈造影および血行再建術を実施した。


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