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Ann Intern Med誌から
低用量アスピリンは潰瘍出血時も継続すべきか
PPIとの併用で再出血リスクを上回る総死亡減少効果

2010/01/15
岡本 絵理=メディカルライター

 低用量アスピリン投与中に消化性潰瘍出血を起こした心血管疾患患者に対し、止血後プロトンポンプ阻害薬PPI)を併用しながらアスピリン投与を継続したところ、アスピリンを中止した場合に比べ再出血リスクは高くなるものの、総死亡が有意に減少した。この結果はAnn Intern Med誌1月5日号に発表された。

 消化性潰瘍出血患者に対する通常のプロトコールでは、内視鏡的止血処置後、胃酸分泌抑制薬を投与し、アスピリンや他の抗血小板薬は潰瘍が治癒するまで中止することとされている。しかしながら、抗血小板薬を中止したときの心血管イベントや死亡の潜在的リスクが存在する。

 香港・Prince of Wales Hospitalの研究者らは、心血管疾患の予防や治療のため低用量アスピリン(325mg/日以下)を投与された心血管疾患患者のうち、消化性潰瘍出血を起こし内視鏡による止血に成功した症例を対象とした二重盲検ランダム化比較試験を実施した。

 試験は2003年2月~2006年10月に行われた。内視鏡による止血はエピネフリン投与および熱凝固により行い、その後登録患者(156例)をアスピリン80 mg/日投与群(78例)またはプラゼボ群(78例)にランダムに割り付けた。

 著者らはこれまでに、PPIの静脈内投与により消化性潰瘍の再出血率が低下することを報告しており、これに基づきPPIのpantoprazoleを試験終了時まで全患者に投与した(80mgを初回ボーラス投与、その後8mg/時で72時間静脈内投与、以降40mg/日を経口投与)。

 1次エンドポイントは内視鏡による止血から30日以内の再出血とした。2次エンドポイントは、試験期間(8週間)中の総死亡、心血管・脳血管・消化管合併症による死亡、輸血の必要性、入院期間、手術の必要性、急性虚血性イベント(急性冠症候群および脳血管事故)の再発とした。

 1次エンドポイントおよび2次エントポイントである総死亡および心血管・脳血管・消化管合併症による死亡は、intention-to-treat解析を行い、Kaplan-Meier法により解析した。


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