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Ann Intern Med誌から
厳格な血糖管理の利益は合併症の状況により異なる
合併症が少ない患者では、血糖管理と心血管イベント発生率に関連

2010/01/06
西村 多寿子=東京大学

 治療中の2型糖尿病患者を合併症数により層別化し、ベースライン時のHbA1cと5年間の心血管イベントの発生を調査した縦断観察研究の結果、合併症の少ない患者群では、厳格な血糖管理を行った方が心血管イベントの発生が有意に少なかったが、合併症の多い患者群では血糖管理と心血管イベント発生率に関連は認められなかった。この結果はAnn Intern Med誌12月15日号に掲載された。

 イタリア・Mario Negri Sud研究所を中心とする研究チームは、イタリア全州の診療状況を確認した上で、プロジェクトへの参加意思の有無によって対象とする州を選択し、糖尿病専門外来101施設と本研究に関心を示したGP(General Practitioner)のクリニック103施設で調査を実施した。期間は1999年から2004年で、患者の平均追跡期間は4.96年(四分位範囲:3.35-5.00)だった。

 対象は、空腹時血糖140mg/dL以上(期間をあけて2回以上測定)または糖尿病治療薬の投与を受けている患者とし、糖尿病専門外来は1施設あたり最低30例、GPのクリニックは1施設最大10例まで登録可能とした。

 主要アウトカムは心血管イベント(狭心症、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、冠血行再建術、下肢合併症[跛行、潰瘍、壊疽、切断、大動脈-大腿血行再建術])と心血管死が発生した場合と定義した。

 合併症(動脈硬化性心疾患、肺疾患、うっ血性心不全、関節炎、泌尿器生殖器疾患、視覚喪失、消化器症状、足疾患)の有無と重症度については、Total Illness Burden Index (TIBI)を用いて評価した。

 TIBIスコア12点を境として、合併症が少ないTIBI低値群と合併症が多いTIBI高値群に分けて、心血管イベントとの関連を分析した。さらに血糖管理による利益とTIBIスコアに関係があるかを検討するため、ベースライン時のHbA1cを6.5%以下と6.5%超、7.0%以下と7.0%超に層別化して、心血管イベント発生率を比較した。

 2型糖尿病患者2613例が最終解析の対象となり、平均年齢はTIBI低値群(1498例)が61.7歳、TIBI高値群(1115例)が64.3歳だった(P<0.001)。糖尿病の平均罹患期間はTIBI低値群よりTIBI高値群が長く(9.7年 対 11.9年、P<0.001)、平均HbA1cと総コレステロール値もTIBI高値群の方が高かった。

 

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