初発心筋梗塞後の患者にアスピリン、クロピドグレル、ビタミンK拮抗薬を単独あるいは併用で用いた場合、使用薬剤数に応じて出血リスクが上昇し、特にクロピドグレル+ビタミンK拮抗薬群と3剤併用群でリスクが高いことが、デンマークの全国的レジストリーを用いた研究から示された。また、非致死的出血は、心筋梗塞再発または死亡リスクの上昇に対する独立した予測因子だった。この結果はLancet誌12月12日号に掲載された。
急性心筋梗塞後には、虚血イベント再発予防の目的で抗血小板薬アスピリンおよびクロピドグレルによる治療が推奨されている。こうした患者の一部はビタミンK拮抗薬も使用しているが、これら薬剤の併用による出血リスクのデータはあまり多くない。
そこでデンマーク・コペンハーゲン大学の研究者らが、国の行政レジストリーを用いて、抗血栓療法別の出血リスクを調査した。
すべての入院情報を記録しているDanish National Patient Registerから、2000~05年に初発心筋梗塞で入院した30歳以上の患者を抽出した。この中から、全国的な処方レジストリーであるDanish Register of Medicinal Product Statisticsに基づき、退院後90日以内にアスピリン、クロピドグレル、またはビタミンK拮抗薬の処方に対する請求があった患者4万812例を本研究に組み入れた。組み入れ日は退院日とした。
患者の多くが試験期間中に治療法を変更したため、治療群を時間依存共変量として、出血イベントと総死亡のリスクを評価した。出血イベントの定義は、入院して非致死的・致死的出血と診断されたこととした。
心筋梗塞再発と死亡を合わせたリスクを評価する際には、非致死的出血を時間依存変数とした。イベントの評価には、全国民の生存状態および死因に関するレジストリーも使用した。
平均追跡期間の約16カ月(476.5日)間に、非致死的出血は1852例(4.5%)に、致死的出血は115例(0.3%)に発生した。非致死的出血では消化管出血が多く、致死的出血では大腿偽性動脈瘤の治療に関連するものが多かった。
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