プライマリケア医を受診する高齢者の5人に1人は末梢動脈疾患(PAD)を有しており、無症候性であっても死亡や血管イベントのリスクは高いことが、ドイツでのコホート研究で示された。PADは従来の心血管危険因子と独立した強力な予後予測因子だった。この結果はCirculation誌11月24日号に掲載された。
PADは全身性アテローム性動脈硬化症の1症状であり、早期発見・治療が重要であるとの認識が高まっている。しかし、有症候者と無症候者の間で心血管イベントリスクを比較したデータは限られている。
そこで、ドイツ・SRH-Klinikum Karlsbad-Langensteinbachの研究者らが、現在進行中の前向き観察コホート研究getABI(German Epidemiological Trial on Ankle Brachial Index)で5年以上経過を観察している患者を対象に、プライマリケアでPADと診断された患者の死亡と血管イベントのリスクを、症候の有無別に分けて比較した。
このコホート研究は、2001年10月に開始された。対象は65歳以上で、研究に参加した一般医(GP)344人の診療所のいずれかに来院し(来院理由は問わない)、GPが余命6カ月を超えると判断した患者とした。1診療所当たり平均20例を組み入れた。
有症候性PADの定義は、足関節上腕血圧比(ABI)値にかかわらず、下肢末梢血管イベント(血行再建術またはPADによる切断)の既往あるいは間欠性跛行の症状があることとした。無症候性PADの定義は、ABIが0.90未満で上記の既往や症状がないこととした。ABIの測定を標準化するために、血管専門医34人がGPに訓練を施し、これらの専門医はその後もGPを指導した。
組み入れられた6880例のうち、ABIが1.5を超えていたためモンケベルグ中膜石灰化硬化症とされた59例を除く6821例が解析対象となった。5年時点で、4例を除くすべての患者で生存状態が追跡されていた。
組み入れ時点のGPの診断で、PADでない患者は5392例(79.0%)、無症候性PAD患者は836例(12.3%)、有症候性PAD患者は593例(8.7%、約4分の1は下肢末梢血管イベントの既往あり)だった。
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