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JAMA誌から
心肺蘇生時の薬物投与は生存退院率に影響せず
院外心停止例を対象に非投与と比較したRCTの結果

2009/12/11
難波 寛子=医師

 心肺蘇生時の静脈内薬物投与はACLS(advanced cardiac life support)ガイドラインで推奨されているものの、アウトカム改善に関するエビデンスは不足している。院外心停止例を対象に静脈内薬物投与の有益性をランダム化比較試験(RCT)で検討したところ、投与群と非投与群の間で生存退院率に有意差は見られなかった。この結果はJAMA誌11月25日号に掲載された。
 
 大規模な疫学調査により、心肺蘇生中におけるエピネフリンの静脈内投与が予後を悪化させることが確認されており、心肺蘇生中の静脈内薬物投与に関するエビデンスの確立が望まれている。

 今回の研究は、2003年5月1日から2008年4月28日までの間、ノルウェー・オスロ市で行われた。同市の人口は54万人で、救急体制はオスロ大学病院により一元的に管理されている。

 ACLSは2006年1月まで、2000年の国際ガイドラインに基づいて行われた。2006年1月以降は、2005年の欧州蘇生協議会のガイドラインが用いられた。両ガイドラインとも、心室細動例の初回もしくはショックが不成功の場合、次のショックの前に3分間の心肺蘇生法(CPR)を行うという変更が加えられた。除細動は手動モードで行われた。気道確保は気管内挿管により行われた。

 研究期間中に発生した外傷以外の原因による院外心停止全例がランダム化された。救急隊員により心停止が確認されると封筒が開封され、ACLS時に静脈内薬物投与を行う群(=投与群)と行わない群(=非投与群)に割り付けられた。非投与群では静脈ルート確保が心拍再開の5分後に行われ、その後は適応に応じ薬物が投与された。

 除外基準は、(1)救急隊員の監視下での心停止(多くの場合、既に静脈ルートが確保されているため)、(2)救急隊以外の医師による蘇生の開始や中断、(3)喘息やアナフィラキシーショックによる心停止。(3)は2006年10月に追加された。

 救急隊員により記入されたUtstein styleの心停止記録用紙が救急車の業務記録とともに回収された。入院患者に関しては病院のカルテが記録に用いられた。

 1次アウトカムは生存退院とした。2次アウトカムは1年生存率、神経学的予後(脳機能カテゴリー1~4)、心拍再開後の入院、CPRの質(胸部圧迫の回数、中断、人工呼吸の回数)とした。

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