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N Engl J Med誌から
腎動脈狭窄の血行再建術は腎機能低下を防げず
イベント発生率も薬物療法のみと変わらず、ASTRAL試験

2009/11/25
小塩 尚代=メディカルライター

 動脈硬化性腎動脈狭窄に対し、薬物療法に加えて血行再建術を実施しても、腎機能低下速度や臨床イベント発生率は薬物療法のみの場合と変わらず、かえって施術に伴う重篤な合併症が数%に認められた。この結果はN Engl J Med誌11月12日号に掲載された。

 動脈硬化性腎動脈狭窄に血行再建術を実施することによる臨床的利益についてのエビデンスは、あまり多くない。そこで、英国バーミンガム大学の研究者らは、薬物療法に血行再建術を併用した場合の腎機能と臨床アウトカムを、薬物療法のみの場合と比較する非盲検ランダム化試験ASTRAL(Angioplasty and Stenting for Renal Artery Lesions)を実施した。

 まず、治療抵抗性の高血圧や不可解な腎機能障害といった、動脈硬化性腎動脈狭窄を示唆する臨床所見のある患者に、画像診断や臨床検査を実施した。その結果、血管内血行再建術に適する腎動脈1本以上に動脈硬化性狭窄があり、血行再建術により臨床的利益を得られるかどうかが主治医にも分からない患者を試験に組み入れた。

 2000年9月から2007年10月までの間に57施設で806例が登録された。患者の59%が腎動脈に70%を超える狭窄を有し、60%が血清クレアチニン値150μmoL/L(1.7mg/dL)以上の顕著な腎機能障害を有していた。

 これらの患者を403例ずつ、薬物療法に血行再建術を併用する群と、薬物療法のみの群にランダムに割り付けた。血行再建群における施術法(血管形成術のみ、またはステント留置)は各医師により決定され、腎保護デバイスは使用しなかった。薬物療法は各施設の方法に従い、スタチン、抗血小板薬、降圧薬などが使用された。

 1次エンドポイントは腎機能の低下とし、その指標として血清クレアチニン値の逆数(クレアチニンクリアランスと線形の関連性を有する)のグラフの経時的な勾配の平均値を用いた。2次エンドポイントは血圧、腎イベント(急性腎障害の新規発症、透析開始、腎移植、腎摘除、腎不全による死亡)、主要心血管イベントおよび死亡とした。試験期間は5年とし、intention-to-treat解析を実施した。

 実際の追跡期間の中央値は33.6カ月だった。血行再建群の403例中施術されたのは335例(83%)で、そのうち317例(95%)で技術的に成功とみなされた。95%でステントが留置された。薬物療法群の24例(6%)にも血行再建術が実施された。

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