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Circ J誌から
EF保持群と低下群で生命予後や再入院率は変わらず
治療方針確立のためのエビデンス構築が必要に、JCARE-CARD研究

2009/11/23
小塩 尚代=メディカルライター

 心不全の悪化で入院した患者の中には左室駆出率(EF)が保持されている(HFpEF)患者も多いものの、こうした患者の長期予後はEFが低下している患者と同等であることが分かった。入院治療を要する心不全患者の臨床的特徴・治療法・予後を調査するために日本で行われた多施設の前向き登録観察研究Japanese Cardiac Registry of Heart Failure in Cardiology(JCARE-CARD)の結果で、Circ J誌10月号に掲載された。

 心不全患者にはEFが比較的保たれている患者も多いが、このような患者の予後はEFが低下している患者と変わらないことを、最近の大規模レジストリーが示している。ただしこれらのレジストリーは主に欧米で実施され、データや追跡期間は限定的なものだった。

 そこで、実地診療の場で心不全患者を選別せずに登録した日本のレジストリーJCARE-CARDのデータベースを用いて、EFが保持されている患者と低下している患者の予後を比較した。

 JCARE-CARDでは、心不全の悪化で164の参加施設に入院した2675例を登録した。332例はEFのデータがなく、651例は心臓弁膜症を有していたため、それ以外の1692例を対象とした。EFが50%以上の429例(26%)をEF保持群、EFが40%未満の985例(58%)をEF低下群とし、EFが40~50%の患者は解析から除外した。

 EF保持群はEF低下群に比べて有意に高齢で、女性の割合が高く、高血圧、心房細動、貧血、腎不全を有する割合が高く、心不全の原因が虚血性心疾患である割合が低かった。またEF保持群では退院時のACE阻害薬、β遮断薬、スピロノラクトン、およびスタチンの処方頻度が低かった。

 入院期間はEF保持群よりもEF低下群の方が長かった(31.2日対35.6日、P=0.03)。入院中の粗死亡率はEF保持群で有意に高かったが(6.5%対3.9%、P=0.03)、多変量による補正後は差がなくなった(補正オッズ比:2.94、95%信頼区間[95%CI]:0.89-9.72、P=0.08)。

 退院後1年以上経過した時点で全患者の予後を調査した(平均追跡期間2.4年)。追跡データが得られたのは1217例(90.3%、EF保持群370例、EF低下群847例)だった。

 

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