非保護左冠動脈主幹部(ULMCA)にシロリムス溶出ステント(SES)を留置した場合の長期予後は、入口部・体部病変では良好だが、分岐部の主幹と側枝(回旋枝)の両方にSESを留置した場合は不良であることが分かった。SESの臨床成績を評価するために日本で行われた多施設の前向き追跡研究j-Cypherレジストリーの3年間の追跡結果で、Circulation誌11月10日号に掲載された。
従来、ULMCA病変に対しては冠動脈バイパス術(CABG)が最も確実な血行再建術と考えられてきたが、最近では経皮的冠動脈形成術(PCI)で薬剤溶出ステント(DES)を留置することも多くなっている。DESの場合には、超遅発性ステント血栓症への懸念から長期的な安全性が問題となるが、ULMCAへのDES留置のアウトカムに関する評価は今のところ不十分である。
そこで、j-Cypherレジストリーのデータを用いて、ULMCA病変にSESを留置した患者における3年間のアウトカムが検討された。
2004年8月から2006年11月までにj-Cypherレジストリーに登録された患者は重複を除いて1万2824例。このうち582例がULMCA病変にPCIを実施され(ULMCA群)、1万2242例がULMCA以外の病変のみにPCIを実施された(非ULMCA群)。
抗血小板療法としては、アスピリン(81mg/日以上)の無期限服用と、チエノピリジン系抗血小板薬(チクロピジン200mg/日またはクロピドグレル75mg/日)の3カ月以上の服用が推奨されており、2剤併用の期間は担当医の判断に任されていた。
追跡期間の中央値はULMCA群942日、非ULMCA群924日だった。1年間の追跡を完了した患者の割合は両群で95%を超えていた。患者背景は不均一で、ULMCA群は非ULMCA群よりも有意に高齢であり、脳卒中、心不全、腎不全などの既往や分岐部病変を有する割合が有意に高かった。抗血小板薬2剤の併用を1年超継続していた患者の割合はULMCA群で有意に高かった(73%対62%)。
循環器プレミアム:新着文献
Circulation誌から
非保護左主幹部へのSES、分岐部病変は予後不良
入口部・体部病変は良好、j-Cypherレジストリーの3年時報告
2009/11/11
新規に会員登録する
会員登録すると、記事全文がお読みいただけるようになるほか、ポイントプログラムにもご参加いただけます。