日経メディカルのロゴ画像

Circulation誌から
先天性QT延長症候群の有病率は約2500人に1人
4万人を超える新生児を対象にした初の大規模研究

2009/11/05
西村 多寿子=東京大学

 先天性QT延長症候群の有病率は5000人~2万人に1人という推定値が公表されているが、これらは一般集団に対するスクリーニングを基にした値ではない。イタリア・Pavia大学の研究者らが、4万人を超える新生児の心電図を調べ、461ms以上のQT延長が見られた例に遺伝子検査を行った結果、白人での先天性QT延長症候群の有病率は2534人に1人であることが示された。遺伝子変異が見られた症例の家族にも遺伝子検査を行ったところ、約半数に変異が認められた。この結果はCirculation誌11月3日号に掲載された。

 本研究では、2001年1月から2006年6月に産科18施設にて登録され、生後15日から25日に心電図検査が行われた4万4596の新生児(うち4万3080例は白人)を対象とした。男児の比率は51%だった。

 心電図検査は、安静時12誘導心電図の記録速度を25mm/sとし、RRとQT間隔から、Bazettの補正式を用いてQTcを計算した(QTc = QT/√RR)。QTcが450msを超えた例には1~2週間以内に再検査を実施し、QT延長や他の異常が確認された場合には欧州心臓病学会のガイドラインに沿って治療を開始した。

 QTcが470msを超えた例に対しては、新生児と両親の血液を採取して遺伝子解析(KCNQ1、KCNH2、SCN5A、KCNE1、KCNE2、CAV3、SCN4B)を行った。

 対象とされた新生児の心拍数、QT間隔、QTcは正規分布を示していた。平均心拍数は153±16bpm、平均QT間隔は256±18msだった。平均QTcは406±20msで、男児より女児の方がやや長かった(405±20ms対407±20ms、P<0.001)。QTcの分布は、2.5パーセンタイル値364ms、97.5パーセンタイル値443msで、451msから460msまでが177例(0.41%)、461msから470msまでが28例(0.06%)、470ms超が31例(0.07%、男8:女23)だった。

 QTcが470msを超えた例のうち脱落した2例を除く29例に心エコーを実施したところ、全例が正常だった。24時間ホルター心電図でQT延長を確認後、プロプラノロール2mg/kg/日を開始した。追跡期間中(中央値:2.8年)に心症状を呈した症例はなかった。

この記事を読んでいる人におすすめ