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N Engl J Med誌から
急性心筋梗塞直後のICD植え込みに効果なし
心臓突然死は減少しても総死亡は変化せず、IRIS試験

2009/10/27
西村 多寿子=東京大学

 ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学の研究者らは、心筋梗塞後早期の植込み型徐細動器ICD)の植え込みが生存率を改善させるという仮説を立て、心拍数や左室駆出率(LVEF)でリスクを層別化して従来治療と比較するランダム化試験を実施した。心臓突然死は減少したものの、突然ではない心臓死が増加したため、総死亡は減少しなかった。この結果は、N Engl J Med誌10月8日号に掲載された。

 心筋梗塞発症から間もない時期の死亡率は、心臓突然死を含めていまだに高い状況だが、現行のガイドラインでは、突然死予防を目的とした、発症から40日以内のICDの使用は推奨していない。

 IRIS(Immediate Risk Stratification Improves Survival)と名付けられたこの試験は、92施設が参加して、1999年6月~2007年10月に実施された。ST上昇の有無を問わず急性心筋梗塞を発症した6万2944例の記録をレジストリーから収集し、以下の基準で対象を選択した。

基準1:心筋梗塞発症後48時間以内に取った心電図において心拍数90回/分以上で、発症後5日から31日までにLVEF40%以下を1回以上記録した。
基準2:発症後5日から31日までに、ホルター心電図で非持続性心室性頻拍(3回以上連続した心室性期外収縮)があり、心拍数150回/分以上を記録した。

 選択基準を満たした18歳から80歳の1311例のうち、試験参加に同意した898例が、ICD植え込み+薬物治療群(ICD群:445例)と薬物治療のみを行う群(対照群:453例)にランダムに割り付けられた。この割り付けは、心筋梗塞発症から平均13日後(標準偏差:7)に行われた。

 ICD群のうち実際に装着したのは415例で、うち378例(91.1%)は、心筋梗塞による入院中に植え込み術を受けた。退院後は、3カ月と6カ月目、その後は6カ月ごとに追跡調査を実施した。

 主要エンドポイントは総死亡、2次エンドポイントは、心臓突然死、突然ではない心臓死、非心臓死それぞれのイベント発生とした。死亡例の分類は、割り付けの結果を知らされていない有害事象検討委員会が担当した。

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