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Circulation誌から
新規抗凝固薬tecarfarinはワルファリンに代われるか
フェーズ2a試験、投与期間の70%超で至適INRを維持

2009/10/09
西村 多寿子=東京大学

 新しい経口ビタミンK拮抗薬tecarfarin(ATI-5923)を心房細動患者に投与し、安全性・忍容性・至適投与量を検討するフェーズ2a試験を実施したところ、INR(プロトロンビン時間の国際標準比)が至適範囲に入っている時間(Time in Therapeutic Range:TTR)が有意に改善された。この結果は、Circulation誌9月9日号に掲載された。

 ビタミンKエポキシド還元酵素(VKOR)拮抗薬であるtecarfarinは、ワルファリンと類似した構造を持つが、平均血中半減期は119時間と長い。また、薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP450)によって代謝されないため、CYP450が介在する薬剤間相互作用や、薬剤と食物間の相互作用、遺伝子多型による影響を回避できるとされている。

 TTRの改善が血栓塞栓症や出血イベントの改善と関係するエビデンスが多数存在し、TTRの10%増加で総死亡が29%低下したという報告もある。そこで研究グループは、tecarfarinのTTRは、ワルファリンで得られる値を超えるという仮説を立てた。

 本試験は、米国の12施設でオープンラベルにて実施された。対象は心電図で心房細動の所見が認められ、軽度から中等度の塞栓症リスク(CHADS2スコア0~2)があり、抗凝固療法の適応がある18歳以上の患者とした。ただし、虚血性または出血性脳卒中、一過性虚血発作、心筋梗塞、急性冠症候群の既往、3カ月以内の冠動脈血行再建術、抗凝固療法禁忌の患者は除外した。

 66例の患者が登録された。tecarfarinを夕方1回、6週間投与し、さらにオプションで6週間継続した。ワルファリンを投与されていなかった患者のtecarfarinの初回投与量は40mg/日とし、ワルファリンを投与されていた患者はtecarfarinに変更した。INRの測定は、第1週に最低3回、第2週と第3週に2回、その後は週1回行い、2.0~3.0の至適範囲に達するように投与量を漸増した。

 対象患者66例の平均年齢は67.7歳(標準偏差[SD]:9.0)で、男性の比率は57.6%だった。64例(97%)は、登録時にワルファリンを投与されていた。12週までtecarfarinの投与を継続したのは59例だった。

 ワルファリンの至適投与量を決定する要因として近年注目されているCYP2C9、およびビタミンKエポキシド還元酵素複合体1(VKORC1)の遺伝子多型については、他の報告における変異頻度と大差なかった。

 TTRは、測定されたすべてのINR値を用いて線形補間法で算出し、TTR45%未満を管理不良と定義した。

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