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N Engl J Med誌から
心臓再同期療法は軽症心不全患者にも有効
死亡・心不全イベントが有意に減少、MADIT-CRT試験

2009/10/07
小塩 尚代=メディカルライター

 左室機能低下と心室内伝導障害を有する軽症心不全患者において、心臓再同期療法CRT)は植込み型除細動器ICD)のみの場合に比べて、死亡や心不全イベントのリスクを有意に低下させることが分かった。この結果は、第31回欧州心臓学会(ESC2009)で9月1日に発表され、その論文も同日、N Engl J Med誌オンライン版に掲載された。

 両室ペーシングによるCRTは、主に重症の心不全患者に対する薬物療法の補助療法として用いられている。2008年のACC/AHA/HRSのガイドラインでは、至適薬物療法下でNYHAの心機能分類III度、または外来でNYHA IV度の心不全を有し、左室駆出率(LVEF)35%以下、心電図QRS間隔120ミリ秒以上および洞調律の患者に対してCRTが推奨されている。

 一方、最近行われたREVERSE試験では、軽症の心不全患者でも、CRTが左室リモデリングを回復させ、心不全による初回入院までの期間を延長する可能性が示されている。

 そこで、米国ロチェスター大学の研究者らは、軽症心不全患者を対象に、CRTによる死亡または心不全イベントに対する効果を検討するランダム化比較試験を実施した。この試験は、MADIT-CRT (Multicenter Automatic Defibrillator Implantation Trial with Cardiac Resynchronization Therapy)と名付けられた。

 対象は、虚血性心筋症でNYHA I度またはII度、あるいは非虚血性心筋症でNYHA II度であり、LVEF30%以下でQRS間隔130ミリ秒以上の、洞調律を維持している21歳以上の患者とした。2004年12月から2008年4月までの間に北米と欧州の110施設で1820例を組み入れた。

 これらの患者を、3:2の比率でCRT機能付きのICDを使用する群(CRT-ICD群、1089例)と、標準的なICDを使用する群(ICD群、731例)にランダムに割り付けた。両群で心不全に対する至適薬物療法を併用した。

 1次エンドポイントは、死亡または非致死的心不全イベントの、いずれか先に発生したものとした。心不全イベントの定義は、外来でうっ血除去薬の静注、あるいは入院中にうっ血除去薬(経口・非経口)による治療の強化を要した場合とした。さらに、ベースラインおよび1年後に2次元心エコーで左室容積とLVEFを測定した。

 本試験では、1次エンドポイントが一定数発生するごとに中間解析を実施し、事前に規定した優位性の基準をいずれかの群が超えたところで試験を終了する方法を用いた。2009年6月、CRT-ICD群が優位性の基準を満たしたため、その直後に試験が終了された。平均追跡期間は2.4年だった。

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