植込み型除細動器(ICD)が心不全症例の突然死予防に有用であることは多くの研究により証明されてきたが、その研究の対象は男性が多く、女性での有用性は不明だった。男女別の総死亡が報告されているICDに関するランダム化比較試験をメタ解析したところ、予防的ICD植え込みにより男性の総死亡は減るが、女性の総死亡は減らないことが明らかとなった。この結果はArch Intern Med誌9月14日号に掲載された。
データは、MEDLINE(1950~2008年)、EMBASE(1988~2008年)、the Cochrane Controlled Trials Register(third quarter、2008年)、米NIHのClinical Trials.gov、米食品医薬品局(FDA)のWebサイト(http://www.fda.gov)から検索された。
抽出されたのは、心不全および左室駆出率(LVEF)低下症例に対する突然死予防目的でのICD使用に関するランダム化比較試験で、かつエンドポイントとして男女別の総死亡が報告されているもの。実験計画のみ記述がありデータが不十分である試験は除外された。
心室性不整脈に対する心臓再同期療法が総死亡に与える影響を考慮し、ICDのみを使用した試験を対象とした。原著論文以外の報告も除外しなかった。対象の選択は2人が独立して行い、意見の相違が見られた場合にはさらに別のレビュアーにより選択された。
検索により2619の試験が候補とされた。うち2355はタイトルにより、16は抄録により除外された。残った248試験のうち、レビューや2次分析であるなどの理由で124が除外され、124の心不全治療デバイスに関する試験に絞られた。その中から、現在進行中、心臓再同期療法が施行されているなどの理由で115試験が除外された結果、9試験が選択された。そのうちさらに4試験が女性の死亡率の報告がないため除外され、最終的に5試験が解析の対象となった。
解析対象となったのは、MUSTT(the Multicenter Unsustained Tachycardia Trial)、MADIT II(the Multicenter Automatic Defibrillator Implantation Trial II)、DINAMIT(the Defibrillators in Acute Myocardial Infarction Trial)、DEFINITE(the Defibrillators in Non-ischemic Cardiomyopathy Treatment Evaluation)、SCD-HeFT(the Sudden Cardiac Death in Heart Failure Trial)の5試験。
対象症例はLVEFが低下している男性3810例、女性934例。評価にはハザード比(HR)が用いられた。
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