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N Engl J Med誌から
フルバスタチンの周術期投与で術後の心イベントが減少
脂質低下とは独立したスタチンによる抗炎症作用に由来と著者は推定

2009/09/24
西村 多寿子=東京大学

 血管手術の予定がある40歳以上の患者に術前1カ月からフルバスタチンを投与したところ、プラセボ投与と比較して、術後の心筋虚血、心血管死と非致死的心筋梗塞が有意に減少し、C反応性蛋白など炎症マーカーの値も減少した。この結果は、N Engl J Med誌9月3日号に掲載された。

 動脈硬化が進行している患者では非心臓手術であっても、心筋梗塞や心血管死など術後の心イベントのリスクが高くなることが知られている。スタチンの投与により脂質低下とは独立して、手術による冠動脈プラーク不安定化の予防が期待できるとする報告もある。だが、スタチンの周術期投与の効果を評価した大規模な二重盲検・プラセボ対照研究はこれまでなかった。

 DECREASE III(Dutch Echocardiographic Cardiac Risk Evaluation Applying Stress Echocardiography III)と名づけられたこの試験は、2004年6月~2008年4月に、オランダ・ロッテルダムのエラスムス・メディカルセンターにて心臓以外の血管手術(腹部大動脈瘤手術、遠位大動脈腸骨動脈再建術、下肢動脈再建術、頚動脈内膜切除術)の予定がある、40歳以上の患者を対象とした。

 ただし、その時点でスタチンを投与されている患者とスタチンが禁忌の患者は除外した。β遮断薬をすでに長期投与されている患者は継続投与し、投与されていない患者はビソプロロール2.5mg/日をスクリーニング時から開始した。

 手術予定患者1669例のうち選択基準を満たした497例を、フルバスタチン群(250例)とプラセボ群(247例)にランダムに割り付け、フルバスタチン群には、徐放性フルバスタチンを80mg/日、術前約1カ月から少なくとも術後30日まで投与した。

 1次エンドポイントは術後の心筋虚血とし、心電図上の一過性虚血(0.1mV以上のST変化が1分以上持続)かトロポニンT上昇のいずれか、もしくは両方が術後30日以内に発生する場合と定義した。

 主要2次エンドポイントは、心血管死と非致死的心筋梗塞の複合、その他の2次エンドポイントには、血清脂質、C反応性蛋白、インターロイキン6の変化などとした。

 患者の平均年齢は66歳、男性の比率は74.8%だった。試験薬の投与開始から手術までの中央値は37日(四分位範囲21-54)で、その期間に有害な心イベントの発生はなかった。

 

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