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Stroke誌から
CKDでは血圧上昇に伴い心血管リスクが増加
わが国の都市住民を対象とした「吹田研究」からのエビデンス

2009/09/09
岡本 絵理=メディカルライター

 慢性腎臓病CKD)は脳卒中や心筋梗塞の独立した危険因子であることが知られているが、血圧上昇が重なるとそれら心血管疾患(CVD)のリスクがさらに増加することが、わが国の都市住民を対象とした大規模コホート研究(吹田研究)から明らかになった。国立循環器病センター予防検診部の小久保喜弘氏らがStroke誌8月1日号に発表した。

 吹田研究では、1989年に大阪府吹田市の住民台帳から性・年齢階層別に1万2200人(30~79歳)を無作為に抽出し、そのうち89年9月~94年3月に同センターで基本健診を受けた6485人を研究対象としている。今回、ベースライン時にCVDの既往歴やCVDを有していた例、データ紛失例、94年4月以降に健診を受けた例、追跡脱落例を除外した5494例を追跡調査した。

 各対象者の血圧を、欧州高血圧学会(ESH)/欧州心臓病学会(ESC)の2007年の基準に従い、「至適」(収縮期血圧[SBP]<120mmHgおよび拡張期血圧[DBP]<80mmHg)、「正常」(SBP:120~129mmHgまたはDBP:80~84mmHg)、「正常高値」(SBP:130~139mmHgまたはDBP:85~89mmHg)、「高血圧」(SBP≧140mmHgまたはDBP≧90mmHg)の4群に分けた。SBPとDBPの分類が異なる場合、高い方の群に被験者を分類した。

 各対象者の糸球体濾過率(GFR)を、血清クレアチニンおよび年齢に基づき、日本人係数により修正したMDRD式を用いて算出した。60mL/分/1.73m2未満をCKDと定義した。

 脳卒中または心筋梗塞をCVDとした。脳卒中の定義は、U.S. National Survey of Strokeの基準に従い、CTまたはMRI、剖検を実施してサブタイプまで診断した。心筋梗塞の確定例および可能性が高い例は、MONICAプロジェクトで設定された基準の定義に従った。

 年齢、性別、BMI、喫煙、飲酒、現症(高血圧、糖尿病、高コレステロール血症)で補正したCox比例ハザード比を用いて、GFR分類群別のCVD発現、CKDの有無と血圧分類別のCVD発現について解析した。

 追跡期間は平均11.7年。この間に脳卒中が213件、心筋梗塞が133件発生した。男女合わせたCVDの多変量補正ハザード比は、GFRが90mL/分/1.73m2以上の群に対し、50~59mL/分/1.73m2の群が1.75(95%信頼区間[95%CI]:1.22-2.50)、50mL/分/1.73m2未満の群が2.48(95%CI:1.56-3.94)だった(P<0.001)。男女別の結果でも同様の傾向を認めた。

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