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Lancet誌から
PPIはチエノピリジン系抗血小板薬の臨床効果を損なわず
in vitroでの抗血小板活性は併用で減弱したがイベント発生率は増加せず

2009/09/11
小塩 尚代=メディカルライター

 大規模臨床試験の事後解析から、クロピドグレルプラスグレルに対するプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用はin vitroでの抗血小板活性を幾分減弱させるものの、臨床転帰は悪化させないことが分かった。この結果は第31回欧州心臓学会(ESC2009)で8月31日に発表され、9月1日にLancet誌オンライン版に掲載された。

 急性冠症候群(ACS)や経皮的冠動脈形成術(PCI)後には、アスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の投与に伴う消化管出血リスクを減らすため、しばしばPPIが併用される。しかし最近、PPIが肝チトクロームP450 2C19(CYP2C19)を競合的に阻害してクロピドグレルの活性代謝物への変換を阻害し、クロピドグレルの抗血小板作用や臨床効果を損なう可能性が指摘されている。

 そこで米国Brigham and Women's Hospitalの研究者らは、2つの大規模ランダム化比較試験のデータを解析し、チエノピリジン系抗血小板薬に対するPPIの併用が抗血小板作用と臨床転帰に及ぼす影響を調査した。

 抗血小板作用(投与開始から6時間後および15日後の血小板凝集阻害活性)の解析には、PRINCIPLE(Prasugrel In Comparison to Clopidogrel for Inhibition of Platelet Activation and Aggregation)-TIMI 44試験のデータを用いた。

 この試験では、待機的PCI実施予定患者201例が、高用量クロピドグレル(99例、初回用量600mg、維持用量150mg/日)またはプラスグレル(102例、初回用量60mg、維持用量10mg/日)にランダム化された。

 臨床転帰(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合エンドポイント)の解析には、TRITON(Trial to Assess Improvement in Therapeutic Outcomes by Optimizing Platelet Inhibition with Prasugrel)-TIMI 38試験のデータを用いた。

 この試験では、ACSでPCIを実施予定の患者1万3608例が、クロピドグレル(6795例、初回用量300mg、維持用量75mg/日)またはプラスグレル(6813例、初回用量60mg、維持用量10mg/日)にランダム化された。

 PRINCIPLE-TIMI 44試験の解析では、in vitroでの抗血小板作用はPPI併用により幾分か減弱していた。この減弱は、初回投与時および維持量投与時のいずれでも認められた。6時間後の血小板凝集阻害率は、クロピドグレル+PPIの23.2%に対しクロピドグレルのみは35.2%(P=0.02)、プラスグレル+PPIの69.6%に対しプラスグレルのみでは76.7%(P=0.054)だった。

 また15日後の血小板凝集阻害率は、クロピドグレル+PPIの29.4%に対しクロピドグレルのみが48.8%(P=0.06)、プラスグレル+PPIの48.2%に対しプラスグレルのみが66.5%だった(P=0.01)。

 血小板凝集阻害率が20%未満を抗血小板薬に対する反応性低下と定義すると、クロピドグレル群における投与6時間後の反応性低下者の割合は、PPI併用群では非併用群に比べて2倍超(50.0% vs. 18.2%)に、15日後には6倍超(50.0% vs. 7.9%)に上った。一方、プラスグレル群では、PPI併用の有無にかかわらず反応性低下例はわずかだった。

 

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