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BMJ誌から
ピオグリタゾンはロシグリタゾンより死亡のリスクが低い
後ろ向きコホート研究、急性心筋梗塞リスクについては有意差なし

2009/09/03
西村 多寿子=東京大学

 チアゾリジン系薬ロシグリタゾンまたはピオグリタゾンを投与された高齢の2型糖尿病患者を対象に、急性心筋梗塞・心不全・死亡の発生を調べた後ろ向きコホート研究の結果、ピオグリタゾン投与群ではロシグリタゾン投与群に比べて心不全と死亡のリスクが有意に低いことが明らかになった。ただし、心筋梗塞については両群間に差はなかった。この結果は8月18日、BMJ誌オンライン版に掲載された。

 チアゾリジン系薬は、インスリン抵抗性の改善効果を有するが、体重増加、水分貯留、心不全といった副作用が報告されている。RECORD試験では、ロシグリタゾンによる心不全リスクの増加が示されたが、心血管リスクに関するエビデンスは不十分で、チアゾリジン系薬に共通するリスクなのかは解明されていない。

 本研究は、チアゾリジン系薬の心血管系に対する安全性を調べる後ろ向きコホート研究である。カナダ・オンタリオ州の高齢の外来患者の中から、2002年4月から2008年3月までに、ロシグリタゾンまたはピオグリタゾンによる治療を開始した66歳以上の2型糖尿病患者を調査対象とした。

 薬の服用歴は同州のコンピュータ化された処方記録から、診断や入退院の情報は国や公的機関のデータベースから、糖尿病の罹病期間など患者の詳細情報は同州の保険請求や糖尿病データベースから、死亡日を含む人口学的情報は住民登録から入手した。

 ロシグリタゾンまたはピオグリタゾンを最初に投与された日を調査開始日とし、同時期にインスリンを投与されている患者は除外した。観察が3年になった時点、もしくは調査期間の終了日のいずれか早い方をもって打ち切りとした。

 1次アウトカムは、総死亡と、急性心筋梗塞または心不全による入院か救急外来受診の複合。2次アウトカムは死亡、急性心筋梗塞、心不全を別々に解析した。

 72カ月の調査期間中に、3万9736例がチアゾリジン系薬による治療を開始、このうち2万2785例(57.3%)がロシグリタゾン、1万6951例(42.7%)がピオグリタゾンを投与されていた。

 患者年齢の中央値は72歳、男性の比率はロシグリタゾン群が53.1%、ピオグリタゾン群が52.1%。糖尿病の罹患期間、過去5年間の心血管疾患の既往歴、前年に使用した薬の種類について、両群のデータはほぼ同等だった。

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