日経メディカルのロゴ画像

Arch Intern Med誌から
抗凝固療法の至適INR、心房細動患者は3.0
オランダでの大規模コホート研究、心筋梗塞後は3.5

2009/08/05
小塩 尚代=メディカルライター

 経口抗凝固療法の至適強度を大規模なコホートで検討したところ、人工弁植え込み患者や心房細動患者ではINR(プロトロンビン時間の国際標準比)3.0を、心筋梗塞後者ではINR3.5を目標値とすべきことが分かった。この結果は、Arch Intern Med誌7月13日号に掲載された。

 ビタミンK阻害薬ワルファリン)による経口抗凝固療法は動脈血栓塞栓症の予防に有効だが、出血リスクを上昇させる欠点がある。出血リスクは抗凝固作用の強さ(INR)および患者背景(年齢・性別など)に関連している。抗凝固作用が強いほど出血リスクも高くなるが、抗凝固作用を弱めると血栓塞栓症リスクが高くなる。

 そこでオランダ・ライデン大学の研究者らは、心原性血栓塞栓症リスクを有する患者において、達成INR値ごとの出血イベントおよび血栓塞栓イベントの発生率を調査し、経口抗凝固療法の至適強度の推定を試みた。

 対象は、1994年から1998年の間にライデン抗凝固クリニックで経口抗凝固療法を受けた、人工弁植え込み患者(483例)、心房細動患者(2111例)、心筋梗塞既往患者(1608例)の合計4202例(7788患者・年)。追跡期間は3年間とし、イベントが発生した場合にはその時点で追跡を中止した。

 オランダにおけるINRの目標値は、本研究開始当時は人工弁植え込み患者で3.6~4.8、心房細動患者および心筋梗塞既往患者で3.0~4.5だったが、1996年に変更され、人工弁植え込み患者および心筋梗塞既往患者で3.0~4.0、心房細動患者で2.5~3.5になった。

 出血イベントは頭蓋内出血・脊髄出血・頭蓋外出血、血栓塞栓イベントは虚血性脳卒中・心筋梗塞・末梢血栓塞栓症で、いずれも入院を要したものを調査対象とした。これらのイベントの発生率を、患者のINR値0.5間隔で算出した。さらに、出血イベントと血栓塞栓イベントの重症度をそろえて検討する目的で、すべてのイベントを致死的なもの、生命を脅かすもの、重篤なもののいずれかに分類し、致死的あるいは生命を脅かすイベントに限定した解析も実施した。

 経口抗凝固療法の至適強度は、出血イベントと血栓塞栓イベントを併せた発生率が最も低くなるINR値と定義した。イベント発生時のINRに最も近い値で解析を行うために、入院時のINR値を使用した。入院時のINR値がない場合には、イベント発生前の8日以内にクリニックで測定したINR値を用い、いずれの値もない場合にはそのイベントは解析に含めなかった。

 

この記事を読んでいる人におすすめ