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Ann Intern Med誌から
腎動脈狭窄症に対するステント留置は腎障害を抑制せず
薬物療法単独と比較した世界初のランダム化試験の結果

2009/07/13
西村 多寿子=東京大学

 腎機能障害を伴う動脈硬化性腎動脈狭窄症に対して、薬物療法に加えて腎動脈ステントを留置しても、薬物療法のみの場合に比べて腎機能障害の有意な進行抑制効果は見いだされず、留置術に関係した死亡例を含む重篤な合併症が数例報告された。この結果は、Ann Intern Med 誌6月16日号に掲載された。

 腎機能障害を伴う動脈硬化性腎動脈狭窄症に対するステント留置術の施行件数は年々増加しているが、有効性と安全性については未知の部分が多い。そこで、オランダ・ユトレヒト大学を中心とする研究チームは、薬物療法単独群と腎動脈ステント留置併用群に分けて予後を見るランダム化比較試験を行った。

 対象は、2000年6月から2005年12月まで、オランダ9施設、フランス1施設の内科または腎臓科を受診し、次の3点を満たした患者。(1)腎機能障害:クレアチニンクリアランス80mL/min/1.73m2以下、(2)腎動脈入口部狭窄:CT血管造影やMR血管造影などで、大動脈分岐部から1cm以内の腎動脈内腔径が50%以上減少(経験のある放射線専門医2人による評価)、(3)血圧安定:試験参加の前月には降圧薬の投与量が安定しており、可能ならば、この時点でACE阻害薬かアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の投与を受けていないこと。

 ただし、腎サイズ8cm以下、腎動脈直径4mm以下、クレアチニンクリアランス15 mL/min/1.73m2以下、蛋白尿3g/日を超える糖尿病、悪性高血圧の患者は除外した。

 患者の降圧治療については、利尿薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、α遮断薬を第1選択とし、降圧目標の140/90mmHgに達しない場合は、ACE阻害薬やARBの投与および利尿薬を増量可能とした。ステント留置は、施術に10年以上の経験があるインターベンショナルラジオロジストが行った。

 1次エンドポイントは腎機能の悪化で、ベースラインと比較してクレアチニンクリアランスが20%以上減少した場合と定義した。2次エンドポイントは、ステント留置術施行に伴う合併症、血圧の変化、難治性または悪性高血圧の発症、肺水腫、心血管疾患、心血管死、総死亡とした。

 140例の患者が、薬物療法のみを行う群(薬物療法群76例)と、薬物療法とステント留置を併用する群(ステント群64例)にランダムに割り付けられた。ただし、ステント群の18例は、割り付けられた治療を実際には受けなかった。その理由は、ステント留置術施行時点で腎動脈狭窄50%未満(12例)、ステント留置の失敗(2例)、施術の拒否(1例)、バルーン血管形成術(1例)、施行前の死亡(1例)だった。

 患者の平均年齢は、薬物療法群67歳、ステント群66歳で、ベースラインの特性は両群間で同等だった。追跡期間は2年で、アウトカムの比較はIntention-To-Treatの原則に基づいて行ったが、ステント群にありながら薬物治療のみ受けた患者比率が高かったため、実際に受けた治療による比較も行った。

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