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N Engl J Med誌から
血行再建は糖尿病合併冠疾患の予後を改善しない
BARI2D試験の結果、インスリン療法の優位性も認められず

2009/07/03
西村 多寿子=東京大学

 糖尿病に合併する冠動脈疾患は予後不良であり、その予後を改善する至適治療はまだ確立していない。安定冠動脈疾患を有する2型糖尿病患者に対し、直ちに血行再建術を施行し、インスリン投与などによる厳格な血糖管理を行っても予後は改善しなかった。この結果は、N Engl J Med誌6月11日号に掲載された。

 BARI 2D(The Bypass Angioplasty Revascularization Investigation 2 Diabetes)と名付けられたこの試験は、2001年1月から2005年3月まで、米国、カナダを含む6カ国49施設で実施された。対象は、血管造影により冠動脈疾患が認められ、緊急適応ではないが、冠動脈形成術PCI)または冠動脈バイパス術CABG)のいずれかに適応がある2型糖尿病患者2368例。主治医はそれぞれの患者に対し、PCIかCABGかより適切な血行再建法をランダム化前に決定した。

 試験は、2×2のファクトリアルデザインで、スタチン、アスピリン、β遮断薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)またはACE阻害薬を含む薬物療法に加えて血行再建術を4週間以内に行う群と、薬物療法のみ継続する群にランダムに割り付けた。さらに、インスリン感受性を改善する薬(メトフォルミン、チアゾリジン系薬など)を投与する群とインスリンを供給する群(インスリン、スルホニル尿素薬など)に割り付けた。治療目標はHbA1cが7.0%未満とし、8.0%未満を維持できない場合は、それぞれ別の群の薬剤も使用可とした。

 1次エンドポイントは総死亡、2次エンドポイントは死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合(主要心血管イベント)とした。平均追跡期間は5.3年で、症候性の心筋虚血患者の比率は82.1%、糖尿病の平均罹病期間は10.4年だった。

 ベースラインの特性は、血行再建群(953例)と薬物療法群(991例)、インスリン感受性改善療法群(977例)とインスリン療法群(967例)で同等だった。ランダム化から6カ月以内に血行再建術を受けたのは、血行再建群95.4%に対し、薬物療法群13.0%だったが、5年後には、薬物療法群でも42.1%がPCIまたはCABGを受けていた。

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