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Lancet誌から
フェノフィブラートで糖尿病による下肢切断リスクが減少
脂質低下による抗動脈硬化作用ではなく、創傷治癒に対する作用が関与か

2009/06/04
西村 多寿子=東京大学

 糖尿病による下肢切断は、患者のQOLの低下を招き、医療コストに深刻な影響を及ぼす。2型糖尿病患者に高脂血症治療薬フェノフィブラートを5年間投与し、投与中の下肢切断イベントを調査した結果、既知の大血管疾患がない患者における小切断の減少など、同薬投与により下肢切断のリスクが低下することがわかった。この結果は、Lancet誌5月23日号に掲載された。

 FIELD(Fenofibrate Intervention and Event Lowering in Diabetes)試験は、50~75歳の2型糖尿病患者を対象に、フェノフィブラートの長期投与による心血管イベント抑制効果を検討した大規模臨床試験で、主要エンドポイントの結果は2005年に発表された。本論文は、同試験の3次エンドポイントとして設定されていた非外傷性切断についてをまとめたものである。

 試験開始時に高脂血症治療薬を投与されていない患者9795例を、プラセボ群(4900例)とフェノフィブラート群(4895例)にランダムに割り付け、プラセボまたはフェノフィブラート(200mg/日)を投与した。追跡期間の中央値は5年で、期間中に発生したすべての非外傷性切断を集計した。ランダム化の結果を知らされていない医師2人が別々に症例を評価し、不一致がある場合は、双方が合意することで解決した。

 9795例のうち115例が糖尿病による下肢切断術を受けた。47例は複数回(2~6回)だった。切断部位により、足関節より上を「大切断」、足関節より下を「小切断」と定義した場合、65例は小切断のみ、50例は大切断、もしくは大切断と小切断の両方を受けていた。

 切断術を受けた115例、切断術以外の心血管イベントが発生した1251例、いずれのイベントもなかった8429例の3群に分けて比較したところ、切断群は他の2群に比べて、男性、高身長、喫煙者が多く、この他に、糖尿病の罹病期間、心血管疾患の既往(心筋梗塞、狭心症、冠動脈血行再建術、脳卒中、末梢血管疾患)、細小血管症(網膜症、神経障害、腎障害を含む)、過去の切断歴または糖尿病性皮膚潰瘍の既往、微量アルブミン尿、顕性アルブミン尿、HbA1cについても、切断群は他の2群に比べて有意に高値だった。

 脂質検査では、総コレステロール、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール、中性脂肪のいずれも、3群間に有意差はあったものの、濃度の差は0.2mmol/Lを超えない範囲だった。

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