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JAMA誌から
微量アルブミン尿は静脈血栓塞栓症のリスク要因
オランダでの大規模前向きコホート研究で明らかに

2009/05/20
西村 多寿子=東京大学

 微量アルブミン尿は動脈血栓塞栓症のリスク因子としてよく知られているが、全身性の血管内皮機能障害を招くことから、静脈血栓塞栓症との関係も示唆されている。地域住民を対象にした前向きコホート研究で、尿中アルブミン排泄量(UAE)と静脈血栓塞栓症発生との関係を評価したところ、微量アルブミン尿は静脈血栓塞栓症の独立したリスク因子であることが明らかになった。この結果は、JAMA誌5月6日号に掲載された。

 PREVEND(Prevention of Renal and Vascular End-stage Disease)と名付けられた本研究は、オランダ・フローニンゲン市在住の28~75歳の男女を対象に実施された。1997~98年に、質問票と早朝尿を採取する容器を地域住民8万5421人に送付したところ、4万856人から回答と検体が得られた。このうち研究に参加意思を示し、ベースライン時に尿中アルブミン≧10mg/Lだった6000例と、<10mg/Lだった2592例(対照群)をコホートとして追跡した。

 スクリーニング時には、2回の外来診察にて、UAE、血清クレアチニン、総コレステロール、HDLコレステロール、血糖、中性脂肪、高感度CRP、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター(PAI-1)、推定糸球体濾過量(eGFR)などの検査値を収集した。

 イベント発生については、フローニンゲン市および周辺地域にある抗凝固クリニックのデータベースを用いて、1997年1月から2007年6月の間に、症候性および客観的に確認された静脈血栓塞栓症を集計した。致死的な静脈血栓塞栓症については、死亡証明書の記載を確認し、国の病院退院時診断のデータベースも参照した。

 ベースライン時の検査でUAEのデータ欠損があった18例を除く、8574例を分析対象とした。平均年齢49歳(標準偏差[SD]:13)、男性の比率50%、UAE<15mg/24h(正常低値)が6013例、15~29mg/24h(正常高値)が1283例、30~300mg/24h(微量アルブミン尿)が1144例、>300mg/24h(顕性アルブミン尿)が134例だった。

 UAE<15mg/24h群の6013例中1481例(25%)が高血圧患者(≧140/90mmHgまたは降圧薬使用)だったが、UAE>300mg/24h群では134例中103例(77%)であり、UAEの高い群ほど、高血圧比率が高かった。UAE上昇に伴う同様な傾向は、男性の比率、高脂血症、喫煙、糖尿病、メタボリックシンドローム、心筋梗塞の既往、脳卒中、悪性疾患、経口避妊薬の使用についても認められた(P<0.05)。

 また、年齢、BMI、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、高感度CRP、tPA、PAI-1の増加とUAEの増加も相関していた(P<0.001)。HDLコレステロールとUAEは逆相関していた(P<0.001)。

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