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N Engl J Med誌から
心房細動の再発をARBは防げず、GISSI-AF試験
RAA系抑制薬には心房リモデリングの改善までは期待できないのか

2009/04/30
西村 多寿子=東京大学

 心房細動の既往がある患者の再発予防として、ACE阻害薬やアミオダロンなどの従来治療にアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のバルサルタンを追加投与したが、プラセボ投与と比較して、心房細動の再発は減少しなかった。GISSI-AF試験(the Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell'Infarto Miocardico-Atrial Fibrillation)の詳細が、N Engl J Med誌4月16日号に掲載された。

 心房細動の動物モデルでは、ACE阻害薬やARBによるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の抑制が、心房の電気的・構造的リモデリングに影響を及ぼすことが示唆されている。臨床研究においても、心房細動の初発や再発予防に、ACE阻害薬やARBが有効だったとの報告があるものの、心房細動の発生が主要評価項目ではなかったり試験規模が小さいなどの限界があった。

 GISSI-AF試験は、2004年11月から2007年1月まで114施設で実施された。対象は、40歳以上、症候性の心房細動のエピソード(心電図による報告)が過去6カ月間に2回以上ある、または、ランダム化の14日前から48時間前の間に電気的除細動を実施して成功した患者とした。

 すべての患者は、ランダム化の最低2日前までに洞調律になっていることに加え、以下の項目に最低1つは該当することが必要とされた。その条件とは、心不全または左心機能不全(EF<40%)の既往、6カ月以上の高血圧、2型糖尿病、脳卒中または末梢動脈疾患の既往、冠動脈疾患の既往、心血管疾患はないが左心房肥大がある――である。

 基準を満たした患者1442例は、バルサルタン群(722例)とプラセボ群(720例)にランダムに割り付けられ、追跡開始後2、4、8、24、52週目に医師の診察を受けた。バルサルタンの投与量は、80mg/日で開始、2週間目に160mg/日に増量、さらに4週目に320mg/日に増量して52週目まで継続された。

 主要エンドポイントは、心房細動の初回再発と、追跡期間(1年間)に心房細動を複数回再発した患者の割合の2つとした。2次エンドポイントは、患者あたりの心房細動再発回数、すべての入院および心血管イベントによる入院、死亡+血栓塞栓性イベント、来院時に洞調律だった患者数、心房細動初回再発時の継続時間と心拍数、安全性プロファイルとした。

 Cox比例ハザードモデルを用いて両群間の比較を行ったが、主要エンドポイントが2つあるため、全体の有意水準が0.05になるように補正を行った。心房細動の初回再発は両側検定で有意水準0.04(信頼区間96%)、心房細動を複数回再発した患者の割合は、有意水準0.01(信頼区間99%)で計算した。

 患者の平均年齢は、バルサルタン群が67.5歳、プラセボ群が68.2歳。バルサルタン群の女性比率は37.0%、BMIは28.0、血圧は138.2/81.5mmHg。冠動脈疾患と末梢動脈疾患の有病率はバルサルタン群の方が高かったことを除いて、ベースラインの特性は両群間で同等だった。ランダム化の時点で、ACE阻害薬の投与を受けていたのは57.0%、アミオダロン34.7%、β遮断薬30.2%、抗凝固薬56.5%だった。

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