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N Engl J Med誌から
透析患者ではスタチンによる心血管イベント抑制見られず
心血管疾患の発症機序が非透析者とは異なる可能性を著者は指摘

2009/04/15
西村 多寿子=東京大学

 スタチンは心血管リスクの高い患者の心血管イベントを減らすが、血液透析を受けている患者に対する利益は証明されていない。AURORA試験(A Study to Evaluate the Use of Rosvastatin in Subjects on Regular Hemodialysis: An Assessment of Survival and Cardiovascular Event)において、末期腎疾患を有する維持透析患者にロスバスタチンを投与したところ、LDLコレステロール(LDL-C)は低下したが、心血管イベントのリスク減少は認められなかった。この結果は、N Engl J Med誌4月2日号に掲載された。

 観察研究では、透析患者へのスタチン投与が生存率を改善することが示唆されており、多くの国の臨床ガイドラインでスタチンの使用を推奨している。しかし、これまでに実施された大規模臨床試験は、ドイツで行われた4D試験(Die Deutsche Diabetes Dialyse Studie)のみといってよい。同試験では、2型糖尿病がある透析患者へのスタチン投与の有効性は認められなかった。

 AURORA試験は25カ国280施設で実施された。対象は、末期腎疾患があり、定期的な血液透析または血液ろ過を3カ月以上受けている50~80歳の患者。ただし、(1)試験開始前6カ月以内にスタチン治療を行っている、(2)1年以内に腎臓移植の可能性がある、(3)血液疾患、新生物、消化器系、感染性、糖尿病以外の代謝性疾患などで平均余命が1年未満と予測される患者は、対象から除外した。

 1次エンドポイントは、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死の複合心血管イベントの発生とした。2次エンドポイントは、総死亡、心血管イベント非発症生存、長期透析用シャント(自己血管内シャントおよび血管グラフト)の狭窄または血栓に対する治療、冠・末梢の血行再建術、心血管死、非心血管死とした。intention-to-treat解析を行い、Cox比例ハザードモデルを用いて、ロスバスタチン群とプラセボ群のイベント発生を比較した。

 2003年1月~2004年12月にスクリーニングを受けた患者中、2776例が二重盲検の対象となり、1391例がロスバスタチン群(10mg/日)、1385例がプラセボ群にランダムに割り付けられた。平均追跡期間は3.2年(最大5.6年)。ロスバスタチン群の平均年齢は64.1歳、女性38.7%。平均透析治療期間3.5年、1週間あたりの透析時間11.9時間、糖尿病の既往27.9%で、ベースラインの特性は両群間で同等だった。

 ベースライン時のロスバスタチン群の平均LDL-Cは100mg/dLだったが、3カ月後に42.9%低下した(42±30mg/dL[平均±標準偏差])。一方、プラセボ群のLDL-Cは3カ月後でも1.9%(1.9±23 mg/dL)の低下にとどまった(P<0.001)。ベースライン時の高感度CRPの中央値は、ロスバスタチン群4.8mg/L、プラセボ群5.2mg/Lで、3カ月後にロスバスタチン群では11.5%(0.65mg/L)減少した。プラセボ群は逆に0.21mg/L増加した(P<0.001)。

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