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JAMA誌から
ACS後のクロピドグレルとPPIの併用に伴うリスク
総死亡+ACS再発リスクが25%増加、米VA病院のコホート研究より

2009/03/19
小塩 尚代=メディカルライター

 急性冠症候群ACS)後に抗血小板薬クロピドグレルを服用している患者では、プロトンポンプ阻害薬PPI)を併用すると、総死亡またはACSによる再入院のリスクが高くなる可能性が示された。この結果はJAMA誌3月4日号に掲載された。

 ACS後にアスピリンに加えてクロピドグレルを使用すると、心血管イベントの再発を減らすことができる。その際、抗血小板薬2剤による消化管出血のリスクを低下させる目的で、PPIがしばしば予防的に処方される。

 しかし、PPIとクロピドグレルは同じ代謝酵素(チトクロームP450 2C19)で代謝されることから、結果としてクロピドグレルの代謝活性化が阻害される可能性がある。実際に、クロピドグレルの抗血小板作用をPPIが減弱させるとした研究報告もある。米食品医薬品局(FDA)は今年1月、クロピドグレルとPPIの相互作用の可能性について、データが十分ではないのでさらに検討が必要だとするearly communicationを発表した。

 本研究で米国退役軍人医療センターのグループは、退役軍人健康庁のデータを利用して、ACS患者を対象としたレトロスペクティブなコホート研究を実施し、クロピドグレルにPPIを併用した場合の予後を検討した。

 対象は、2003~06年に127の退役軍人病院(Veterans Affairs Hospital)を退院したACS(急性心筋梗塞または不安定狭心症)患者で、退院時にクロピドグレルを処方されていた患者8205例とした。このうちの63.9%(5244例)は退院時または追跡期間中にPPIを併用しており、36.1%(2961例)はPPIを併用していなかった。PPIを併用していた患者の方が高齢で、併存症を有する割合も高かった。追跡期間の中央値は521日だった。

 解析の結果、PPIの併用は、1次エンドポイントである総死亡またはACSによる再入院のリスク上昇と関連しており(補正後のオッズ比[OR]1.25、95%信頼区間[95%CI]:1.11-1.41)、2次エンドポイントであるACSによる再入院(OR:1.86、95%CI:1.57-2.20)および血行再建術施行(OR:1.49、95%CI:1.30-1.71)のリスクとの関連も有意だったが、総死亡のリスクとの関連は認められなかった(OR:0.91、95%CI:0.80-1.05)。

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