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Hypertension誌から
JNC7発表後も利尿薬の第1選択率はそれほど増えず
埋まっていないガイドラインと現場のギャップ

2009/03/16
岡本 絵理=メディカルライター

 米国で2003年に発表された改訂・高血圧治療ガイドライン(JNC7)は、大規模臨床試験「ALLHAT(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)」の結果を受けて利尿薬を第1選択とした。JNC7がどの程度受け入れられたかを評価するため、Paul Muntner氏らの研究グループは、発表前後で新規高血圧患者に処方された降圧薬の内訳を比較した。その結果は「変化はしたが大きなものではなかった」というものだった。Hypertension誌オンライン版に2009年2月16日、論文が先行公開された(雑誌掲載は4月号の予定)。

 ALLHAT試験では、サイアザイド系利尿薬のクロルタリドン投与群において、α遮断薬のドキサゾシン、Ca拮抗薬のアムロジピン、ACE阻害薬のリシノプリル投与群と比較して、心不全発現率が低かった。また、脳卒中の発現率と複合心血管疾患の転帰についても、クロルタリドンがドキサゾシンやリシノプリルよりも優れていた。

 この結果を受け発表されたJNC7では、特に他の降圧薬を使用すべき疾患がない場合、初めての降圧薬としてサイアザイド系利尿薬を単独使用または併用するよう推奨した。そこで著者らはALLHATとJNC7を境に、降圧薬の処方内容がどう変化したか調査した。

 約20万人が加入している米国南東部の民間健康保険会社のデータを用いて、JNC7発表前の2001年7月1日~2002年6月30日(以下、01-02年)と、JNC7発表後の2003年7月1日~2004年6月30日(03-04年)、および2004年7月1日~2005年6月30日(04-05年)の3期間に、初めて降圧薬を処方された患者の処方内容を調べた。

 以下、3群の患者属性を、01-02年、03-04年、04-05年の順で表記する。対象患者数は1354人、1542人、1859人。平均年齢は58.2歳、61.3歳、62.7歳(後の2群が01-02年に比べ有意に高齢)。合併疾患は、心筋梗塞が1.2%、2.3%、2.4%、心不全が1.7%、3.8%、6.3%、腎疾患が0.5%、2.2%、5.9%、糖尿病が12.8%、15.7%、20.0%と、いずれも01-02年に比べ後の2群が有意に高かった。

 降圧薬は利尿薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、その他の6種類に分類し、利尿薬についてはさらにサイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬、カリウム保持性利尿薬に分けて処方率を算出した。

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