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J Am Coll Cardiol誌から
フィブリン由来ペプチドFX06は再灌流障害を軽減するか
有望だが主要アウトカムは有意差なし、例数増やした試験が必要と著者

2009/02/19
中村 克也=医学ライター

 ヒトフィブリン由来ペプチドであるFX06が、急性ST上昇型心筋梗塞STEMI)に対する経皮的冠動脈インターベンションPCI)後の再灌流障害を軽減する可能性のあることが明らかになった。1月28日、J Am Coll Cardiol誌のオンライン版に論文が掲載された(雑誌掲載は2月24日号の見込み)。

 この試験はF.I.R.E.試験(Efficacy of FX06 in the Prevention of Myocardial Reperfusion Injury)と題するもので、FX06を虚血後再灌流障害の治療薬として開発しているオーストリアFibrex Medical社と、ノルウェー・オスロ大、オーストリア・ウイーン大など欧州の26施設が共同で実施した。なお、試験成績の概要は、2008年9月の欧州心臓学会議で既に発表されている。

 FX06はフィブリンがプラスミンによって分解されて生じた28アミノ酸残基から成るペプチドで、フィブリンE1断片が血管内皮のVE(Vascular Endothelial)カドヘリンと結合するのを競合的に阻害する。その結果、FX06は抗炎症作用を発揮するとともに、組織への血漿漏出を減少させると考えられている。冠虚血/再灌流の動物モデルでは、FX06投与により梗塞サイズが縮小した。

 今回の試験は急性STEMI患者にPCIを行う際、FX06投与によって再灌流障害が軽減するかを検討したもので、FX06のフェーズII臨床試験と位置付けられた。試験期間は2006年10月~08年3月。対象は、他に重大な合併症のない初発の急性STEMI患者で、発症6時間以内に受診し、心電図の少なくとも3誘導で2mm以上のST上昇が認められ、責任病変が1つである例とした。

 これらの患者(234例)を二重盲検下でFX06群かプラセボ群のいずれかに割り付け、PCIによる再灌流時にFX06を200mgまたはプラセボをボーラス投与し、10分後に再び200mg投与した。主要アウトカムは、ガドリニウム遅延造影MRIによって評価した発症5日後の総梗塞サイズとした。副次アウトカムは、発症5日後の壊死性コアのサイズ、4カ月後の梗塞サイズ、左室機能、トロポニンIレベル、安全性などとした。

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