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J Am Coll Cardiol誌から
ACSに対するCABG、術直前のクロピドグレル投与は要注意
再手術は4.6倍、大出血も1.8倍に。5~6日の休薬期間でリスク増は解消

2009/02/09
難波 寛子=医師

 急性冠症候群ACS)患者に対し、冠動脈バイパス術CABG)前5日以内にクロピドグレルが投与されていると、再手術大出血のリスクが増大し入院期間も延長することが明らかになった。全米14施設が共同で行った後ろ向きコホート研究の結果で、J Am Coll Cardiol誌2008年11月18号に掲載された。

 ACS患者に対する早期のクロピドグレル投与はACC/AHAガイドラインでも推奨されている。しかしCABG前の投与に関しては、手術の5~7日前に中止することが望ましいとされているものの、ACS患者に限定した多施設共同研究は行われておらず、そのリスク評価は明確ではなかった。

 本研究の登録対象は、ACSで入院してCABGを受けた30歳以上の患者。末期腎不全、CABGと平行して開心術を実施、術前に出血傾向が判明、CABG後30日のフォローアップ不可、入院または血管造影後7日以内にCABGが行われなかった、心破裂の疑い、グルココルチコイドの常用例などは除外した。

 CABGの術前5日以内にクロピドグレルが投与されていた患者を投与群、投与されていなかった患者を非投与群とし、1施設当たり投与群25例、非投与群25例を無作為に選択した。ただし非投与群には、CABGから6日以前にはクロピドグレルが投与されていた患者も含まれている。

 各施設からの登録症例は合計677例。施設の症例数がどちらかの群で25例に満たない場合には、両群の症例数が同数になるようランダムに調整され、最終的に596例(両群298例、平均年齢64歳、男性68%、白人89%)が解析された。

 患者背景として、脳血管疾患、心筋梗塞、PCIの既往は投与群の方が多い傾向にあったが、入院時のACSの分類は差がなかった。バイパスされた血管数と左内胸動脈の使用率は投与群の方が少なかった。CABGの延期は投与群で46例、非投与群で32例と有意に投与群が多かった(P<0.001)。手術室での血栓溶解薬の使用も投与群が多かった(投与群:66% vs. 非投与群:56%、P=0.0009)。

 投与群におけるクロピドグレルの最終投与からCABG実施までの時間は平均56±48.11時間。投与量は95例が初回投与量(多くは300mg)、230例が維持量(多くは75mg)だった(編集部註:論文では230例だが、投与群総数が298例なので203例の誤記の可能性あり)。

 エンドポイントは、再手術、大出血(5g/dL以上のHb低下、頭蓋内出血、失血死、心タンポナーデ)、入院期間とした。

 投与群は非投与群と比較して、再手術が多かった(6.4% vs. 1.7%、P=0.004)。大出血も投与群で多く(35% vs. 26%、P=0.049)、入院期間も投与群で長かった(9.7±6.0日 vs. 8.6±4.7日、未調整 P=0.016)。再手術の目的は、大半が出血のコントロールであった。

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