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JAMA誌から
拡張不全があると年齢以上に運動耐容能が低下する
運動やARBなどによる拡張不全への介入が今後の検討課題に

 運動能力を規定する因子として、年齢、性別、肥満度(BMI)、合併症などが挙げられているが、詳細は明らかではない。年齢が最も強い規定因子とされ、その機序は最大心拍数の抑制にあるとされる。しかしこれは修正不可能な因子であり、運動能力の男女差を規定する心拍出量や骨格筋量の違いも修正不可能なものである。年齢による運動能力の低下機序、男女差をもたらす機序の中で、介入による修正が可能な要因を明らかにすることは臨床的に重要な意味を持つと考えられる。

 従来より、心機能の指標の中で収縮能の指標は運動耐容能と相関しないことが明らかになっており、少数の調査だが拡張機能の方が相関するとの報告があった。米メイヨークリニックの研究グループは、運動負荷エコー検査の対象となった2867例の大規模集団を対象に、左室拡張機能と運動耐容能との関連、さらにはこの関連に対する年齢と性別の影響を横断研究として調査し、1月21日付けのJAMA誌に報告した。

 研究対象からは、運動誘発性虚血のある患者、左室駆出率50%未満(すなわち収縮能障害)の患者、有意な弁膜性疾患のある患者を除外し、運動負荷はBruceプロトコールで行った。心エコー検査は、運動負荷前の安静時と負荷直後の2回行った。

 拡張機能は、早期流入波(E波)、心房収縮波(A波)、E波減速時間、僧帽弁輪後退速度(e')、心房容積で評価した。左室充満圧(もしくは拡張末期圧)の指標として確立しているE/e'(イーオーバーイープライム)は、安静時には全例、負荷直後では82%の症例で評価できた。E/e'が15以上の場合を左室充満圧上昇と評価した。

 左室収縮能は、正常範囲内での変動ではあるが、運動耐容能と関連しなかった。これに対し拡張機能障害は、運動耐容能と強い逆相関を示した。拡張機能障害は4段階(正常、軽度障害、中等度障害、重度障害)に分類した。これらは各種の拡張機能の指標を総合的に評価した拡張機能障害の教科書的分類(正常、弛緩障害、擬正常化、拘束性障害)に対応した分類である。

 拡張機能正常患者に比べ、安静時の中等度/重症拡張不全(-1.30 METs:95%信頼区間[95%CI]:-1.52~-0.99、P<0.001)と安静時の軽度拡張不全(-0.70 METs:95%CI:-0.88~-0.46、P<0.001) を有する患者は、有意に低い運動耐容能を示した。

 安静時の左室充満圧指標(E/e')が15以上の場合(-0.41 METs、95%CI:-0.70~-0.11、P=0.007)と、運動後のE/e'が15以上の場合(-0.41 METs、95%CI:-0.71~-0.11、P=0.007)は、ともに運動耐容能低下と関連した。

 拡張機能が運動耐容能を規定する機序として他の研究結果から、運動中の左室充満が障害されることにより、収縮機能が正常であっても運動に要求される心拍出量を維持する充満率に到達できないためと推定されている。

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