院内心停止の蘇生時にエピネフリンに加えてバソプレシンと副腎皮質ステロイドを投与すると、エピネフリンのみを投与した場合に比べて蘇生率や生存退院率が向上することがわかった。蘇生後ショックを起こした患者でも、副腎皮質ステロイドを継続投与した方が生存退院率が良好であった。この結果は、Arch Interm Med誌1月12日号に掲載された。
心肺蘇生において非蘇生患者では蘇生患者に比べて血中バソプレシン値が低いことが知られている。バソプレシンには補助的な血管収縮作用があり、心停止後の蘇生時に投与すると長期生存率が向上するとの動物実験の結果もある。また、蘇生中および蘇生後にはコルチゾールの血中濃度が低下していることが報告されている。
そこで今回、Athens大学の研究者らがギリシャの単一施設で院内心停止を起こした患者を対象に前向き無作為二重盲検試験を行い、エピネフリンにバソプレシンと副腎皮質ステロイドを併用する効果を検討した。
試験では、3次救急を行う教育病院であるアテネのEvaggelismos総合病院で2006年6月~2007年3月の間に心停止を起こした患者100例を、試験群48例と対照群52例に振り分けた。心停止の原因は、心室細動、心室頻拍、心静止など難治性のものだった。
心肺蘇生の最初の5サイクルで、試験群では1サイクルごとに1mgのエピネフリンおよび20IUのバソプレシンを、対照群では1mgのエピネフリンと同量の生理食塩水(プラセボ)を静注した。また最初の蘇生サイクル時に、試験群ではメチルプレドニゾロン40mgを、対照群では生理食塩水(プラセボ)を静注した。また、蘇生が成功した場合、蘇生後ショックの治療として試験群(27例)でストレスドーズのヒドロコルチゾン(最大で1日300mg×7日間、その後漸減)を、対照群(15例)では生理食塩水(プラセボ)を静注した。
循環器プレミアム:新着文献
Arch Intern Med誌から
バソプレシンとステロイドの追加で心停止後の予後改善
エピネフリン単独投与に比べて蘇生率や生存退院率が向上
2009/01/31
岸野 美奈子=滋賀県赤十字血液センター
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