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Circulation誌から
QT延長症候群に対するβ遮断薬の有用性を再確認
服薬コンプライアンスやQT延長作用のある薬の併用に注意

2009/01/27
西村 多寿子=東京大学

 QT延長症候群Long-QT Syndrome)の治療にはβ遮断薬が広く使われているが、投与中の心停止や突然死の報告もある。しかしそれらの心イベントがβ遮断薬による治療の失敗を示すものなのか、別の要因によるものなのかは明らかではない。近年では、β遮断薬を投与することなく、植込み型除細動器ICD)を適用する例が増加しているが、lCDが突然死を常に予防できるわけではなく、特に小児では合併症やQOLの低下を招くことが懸念されている。

 QT延長症候群の患者を対象に、β遮断薬と心イベントの関係についてレトロスペクティブに評価を行ったところ、心イベントは同薬の効果に問題があるのではなく、患者の服薬コンプライアンス不良や、QT時間延長作用のある薬の併用に起因する可能性が示唆された。米国ユタ大学の研究グループが、その結果を1月20日付のCirculation誌に報告した。

 β遮断薬の効果はgenotypeによって異なることから、対象はLQT1(Long-QT Syndrome Type1)の患者とし、4つのデータベースから216例を抽出した。データベース登録は早いもので1970年代前半から始まり、投与開始からの観察期間中央値は10年。評価時点での年齢は4歳から76歳(中央値26歳)、64%が女性だった。

 心イベントに含まれるのは、心臓性突然死、心停止からの回復(aborted cardiac arrest:以下、心停止と記載)、失神発作で、β遮断薬開始前に発生した心イベント数と、開始後の心イベント数を比較した。またβ遮断薬の服薬コンプライアンスやQT延長作用のある薬の併用が、患者の突然死や心停止に及ぼすリスクについても分析を行った。

 QT延長症候群の患者が避けるべきQT延長作用のある薬については、Arizona Centerの治療プログラムの定義に従い、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、抗ヒスタミン薬、抗生物質、抗真菌薬、抗マラリア薬、α遮断薬、興奮薬、利尿薬などとした。

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