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J Am Coll Cardiol誌から
レジスチンは心不全発症の予測因子になる
同時に検討したアディポネクチンは有意に関連せず

2009/01/23
西村 多寿子=東京大学

 心不全の危険因子として、年齢、冠動脈疾患、高血圧、弁膜症、左室肥大、糖尿病などとの関係は確立しているが、インスリン抵抗性や肥満が心不全のリスクを増大させるメカニズムはいまだ明らかではない。またTNF(腫瘍壊死因子)α、IL6、CRPといったバイオマーカーの血中濃度と心不全の発症が関連しているという報告はあるが、アディポカインと心不全の関係については十分なエビデンスが得られていない。

 そこでFramingham Offspring Studyの研究グループは、同コホートを対象にインスリン抵抗性を引き起こすアディポカインの1つであるレジスチンと、インスリン抵抗性改善作用を有するアディポネクチンが心不全発症の予測因子になるかを調べた。その結果、レジスチンは予測因子になるが、アディポネクチンはならないという結果が出た。詳細は、2008年12月22日にJ Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 同コホートはFramingham Heart Study参加者の子どもとその配偶者を対象としたもので、1971年に登録を開始し、4年ごとに治療歴、身体・生化学検査を実施している。本研究は、1999~2001年に7回目の定期検査を行った3539例のうち、心不全患者とアディポカインのデータのない人を除外した2739例を分析対象とした。

 著者らは、レジスチンは血中濃度が高い方が心不全のリスクが増大し、アディポネクチンの場合は濃度が低くなるとリスクが増大するという仮説を立て、レジスチン値およびアディポネクチン値と心不全発症との関係を調べた。

 主要エンドポイントは、心不全イベントの初発と設定した。Framinghamうっ血性心不全診断基準に従い、大項目を2項目、あるいは大項目を1項目および小項目を2項目有するものを心不全とした。大項目には、発作性夜間呼吸困難、起座呼吸、頸静脈怒張、肝頸静脈逆流、ラ音聴取、心拡大、急性肺水腫などが含まれている。

 Cox比例ハザードモデルを用い、調整については3種類のモデルを使用した。モデル1は年齢と性別、モデル2は、年齢、性別、収縮期血圧、降圧療法、糖尿病、喫煙、総コレステロール/HDLコレステロール比、既存の冠動脈疾患、弁膜症、左室肥大、推定糸球体ろ過値(eGFR)で調整した。

 モデル3は、モデル2にBMI、インスリン抵抗性の指標(HOMA-IR)、CRP、BNPのそれぞれを1つずつ追加(3A~3D)、4つすべてを追加(3E)、モデル3Eから冠動脈疾患の罹患者を除外(3F)して解析した。

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