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Circulation誌から
AFの経口抗凝固療法はTTRを指標としたINR管理が必要
TTRが60~65%以下では抗血小板薬治療と同等の効果しかない

 心房細動(AF)において脳卒中や血管イベントを最も有効に阻止するのは経口抗凝固療法(OAC)であることは、無作為化臨床試験のメタ解析から明白である。OAC効果の個人差や個人内での日差変動から、INRを用いた投与量調節が国際的に行われている。

 INR2.0~3.0のレンジが心房再動における脳卒中予防として確立していて(訳註:日本循環器学会「心房細動治療(薬物)ガイドライン」でも基本的に同様だが、70歳以上では1.6~2.6が推奨されている)、このレンジ内に入っている時間(Time in Therapeutic RangeTTR)を最大化することが、診療の要となる。

 多様な臨床状況の下でのTTRの報告のメタ回帰分析によれば、全研究の平均TTRは64%と報告された。しかし最近の大規模データベースからの報告では、地域によってはTTRが29%と低かったり、平均TTRが65%であっても3分の1の患者が65%未満であるとの報告もあった。さらにTTRが血管イベントや出血と関連すると分かっていても、これまでの研究では、OACを効果的なものにするために必要な最低TTRの推定は困難だった。

 カナダMcMaster大のConnollyらの研究グループは、15カ国にまたがる国際多施設共同研究「ACTIVE(The Atrial Fibrillation Clopidogrel Trial With Irbesartan for Prevention of Vascular Events) W」のデータを解析した結果、心房細動患者において抗血小板薬治療と比較してOACの有効性が得られるTTRの最低目標が判明したと、11月11日付けのCirculation誌に報告した。

 ACTIVE Wでは、心房細動のほかに最低1つの危険因子(75歳以上、高血圧治療、脳卒中既往、TIA、中枢神経を除く全身性の塞栓症、左室機能不全、PAD、糖尿病、冠動脈疾患)を持つ患者を対象とし、抗血小板薬群(クロピドグレル[75mg/day]と低用量アスピリン[75~100mg/day]の併用)またはOAC群に被験者を無作為に割り付けた(訳註:本文中に明確な記載がないが大部分でワルファリン、一部の国で短時間ビタミンK拮抗薬のAcenocoumarolと推定される)。

 OAC群では最低月1回のINRモニタリングを受け、INR2.0~3.0に維持された。被験者にはコーディネーターから定期的な連絡があり、TTR>60%を維持するための助言が与えられた。

 TTRは、INRの測定値が2.0~3.0のレンジに入っている日数の比率を線形補間法で算出した。一次アウトカムは、初発脳卒中、非中枢神経性の全身の塞栓症、心筋梗塞、血管イベント死とした。OACによる利益は一次アウトカムと大出血の複合と定義した。

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